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失われた民主主義―メンバーシップからマネージメントへ

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 慶應義塾大学出版会
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寡頭支配vs草の根民主主義 ★★★★★
読み応えのある本だと思う。

この本でスコチポルは、19世紀後半から現在までの1世紀以上にわたる、
市民たちの自発的な結社の盛衰を精査して、そういった結社が
過去1世紀の間にいかに変容し、その変容がアメリカの民主主義に
どんな影響を与えたのかを検証している。

社会運動、友愛組織、宗教組織などについて収集された
膨大な1次/2次史料、データに裏づけられた論証はとても説得力がある。

スコチポルは、それまで市民たちのささやかな友愛精神に基づく、
自発的でゆるやかな連帯、メンバーシップに基づいて成り立っていた結社が、
1960年代に、高度に特権的で個人主義的な一部の専門家・ビジネスエリートが
寡頭的に支配するマネージメント組織に変質したことを示唆する。

この劇的な変化によって、市民たちの多種多様な声は制限され、抑圧され、
飼いならされていく。ビジネスエリートの寡頭的なマネージメント組織と
化した結社はもはや、社会階層・階級を超えたゆるやかな市民的連帯などに
関心を示すわけもなく、したがって市民たちの多種多様な声に耳を傾ける
こともなくなる。つまりは、たんなる選挙における集票/集金マシーン、
利益団体へと化していく(実際、国からの財政援助目当てで、会員数ゼロの
組織もあるらしい。国民皆保険制度の導入を阻む団体に変質したりもする)。

スコチポルのパットナム批判もなかなか的を射ていると思う。
1世紀以上の歴史的変容を追ったスコチポルからすれば、
パットナムの挙げた数値はスナップショット的で
一断面を捉えることしかできないように見えるだろうし、
家族やコミュニティが再生したからといって、市民の政治的立場や
政治参加制度それ自体が変わらなければ、実行力をともなった力には
なっていかないわけだし。

では、どうすべきか? というところまで、
具体的にフォローされており、草の根民主主義のあり方を
考えていくうえで参考になる本だと思う。