『黄耳なら 必ず戻るでしょうな』。
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初単行本化20周年記念出版の『アルティメット・エディション』全2巻の下巻。
下巻の巻末には、
◎ 藤木義勝による特別寄稿
◎ 藤原カムイによる人物設定のデザイン画
◎ 登場した銃器の写真付き解説
◎ 出渕裕による設定資料のデザイン画(陸自特殊部隊がメイン)
◎ 下巻に収録した各話の解説
◎ (簡単な)用語解説
◎ 参考文献一覧・初出一覧・単行本化履歴
◎ 藤原カムイによる作者あとがき
◎ 押井守による作者あとがき
◎ 『前夜 ケルベロス騒乱異聞』
が収められています。
各話の解説が、短文ながら的確な内容でストーリー全体を繋ぎ合わせ、絵には現われなかったシナリオ設定も紹介されているのが秀逸です。
『前夜 ケルベロス騒乱異聞』は、本版の最大の目玉ではないでしょうか。
2009年に本書と同じ学研から刊行された『ケルベロス 東京市街戦 首都警特機隊全記録』用に書き下ろされた短編です。
隊長の密命を受け、"ケルベロス騒乱"を逃れた紅一、蒼一郎、翠の3名。
彼らのうち、翠の「その後」が描かれています。
本編同様、押井守・シナリオ、藤原カムイ・作画で、『紅い眼鏡』にも繋がる、そして、読後に深い感慨と疑問、期待、さまざまな想いが湧き起こる一編です。
藤原カムイ・押井守両氏のあとがきは、各1ページずつと短いのですが、20周年の「これまで」を振り返りつつ、「これから」を予感させる言葉が見え隠れし、ゾクっとさせられます。
『ケルベロス・サーガ』は、まだまだ終わらない、と思わずにはいられない「終わりかた」でした。