好き嫌いの分かれる話
★★★☆☆
わたしは記者がヒロインの話は好きではなく、分かった時点で読むのを避ける。
どうしても性格的に好きになれないタイプの女性が多いからで、それは好みの話。
今回は、どうしようか悩んだけれど、シャーロックとサビッチの一連の
シリーズの話なので、読んでみた。
ヒロインのキャリーは記者だけれど、記者として行動していなかったので
あまり嫌悪感は沸かなかった。
(それでも言い方にカチンとくることは何度もあり、まさにベンのいう
「大口叩きのミス・マーカム」の通りの人だと思ったが)
なぜベンとキャリーが互いを意識しだしたのか(特にベンの方が)
そのあたりが全く書かれていないため、ロマンスとしてはまさに
「ヒーローとヒロインだからくっついた」
という、説得力のない理屈でまったく物足りない。
はっきり言えば、要素としてこの2人のロマンスなどいらない。
ただのサスペンスだけにしておけばよかったのに、と思う。
(でも、ロマンスにはほとんどページは割いていないので、
まぁあってもいいか、程度には思うけどね)
そしてラスト。
キャリーに投げつけられた厳しい選択。
キャリーの選択を認めるかどうかによって、この本の読者は
この本に対する評価が分かれると思う。
わたしは認められないし、倫理的にも、記者としても、
キャリーが認めてはいけないことだと思う。
「なんでも打ち明けてもらえるようになりたいよ、キャリー」
これから2人で未来を築こうとするベンの真剣な言葉は、キャリーに届かなかった。
あのラストは、このカップルの暗い未来を書いているように思えた。