最初は怠いけれど途中からは面白くなる
★★★★☆
最初はフリーメーソンやユダヤといった陰謀の基礎知識であり、「単なる噂じゃないの」「事実とは思えない」と思いながら、ダラダラと読み進んだ。
ところが真ん中を過ぎたあたりから、俄然、面白くなるのだ。ケネディ、ニクソン、キッシンジャー、ブッシュ、クリントンなど、それなりに顔を思いだせ、知っている事実との関連が「さもありなん」と感じられるからである。
どの分野でも基礎知識の修得は怠いもの。でもその基礎知識があって、後半の面白さを感じることができる本です。かなり分厚いけれど。
陰謀の世界・世界の陰謀
★★★★★
この著者がカバーする範囲があまりに広いせいか、著書への関心は
あまり高くないようだ。しかし、いずれの本もいわば入門から応用
までをカバーするような丁寧な書き方である。本書のようにトンデモ
本のテーマになるものでも、慎重に丁寧に要領よくまとめている。
これ一冊ででもいろんな国際謀略小説のネタがいっぱい。
で、あなたはどういう意見なの?
★★★☆☆
著者の海野氏が「陰謀史観」の体系をテーマごとに描いた本。著者自身、「陰謀のセオリーでは・・・」と繰り返し本書で書いているので、著者自身は、本書のなかで取り上げられている数々の“陰謀”についてはあまり信じていないものと思われる。もっとはっきり言えば、この本は「陰謀の世界史」と銘打っておきながら、見出しの付け方や著者自身の筆致から、そのような世界史の見方を批判的に観る姿勢がありありと伺え、様々な陰謀を一緒くたに論じることで、裏付けのある事実まで、陰謀として葬り去ろうという一種悪質な意図すら伺える。
一例をあげれば、ミルナー・グループについて取り上げておきながら、それについてもっとも信頼の置ける、キャロル・キグリーの本を取り上げなかったり、共産主義について取り上げておきながら、共産主義者にウォール街がさんざん資金提供を行った事実を述べた、アントニー・サットンの本を挙げていなかったり。
著者が取り上げている、マリンズやゲイリー・アレンの著書の中には確かに疑って掛からなければならない一種パラノイアックな部分もあるが、クロスチェックをすることで事実としての裏付けの出来る部分も多い。海野氏の「陰謀史家研究家」としての評論態度で更に問題なのは、ご自身がいかなる立場に立つか一切述べることなく一方的にこれらの史観を批判している点である。陰謀について取り上げた本でありがちなのは、陰謀史観を批判するだけで、自分の考えを一切述べないというものである。この本もその例に漏れない。
しかしながら、様々な著書の要約を行っており、巻末には資料一覧も付いているのでそれなりの価値はある。しかし、それにしても読むべき本はまだ沢山ある。