虐待関係実務家はかならず読んでおくべきであろう
★★★★☆
虐待の実務に関わる専門家にとって、虐待の事実認定ほど困難な問題はないだろう。とくに、虐待があるか否かが微妙なケースや、子供がすでにさまざまな人によって質問攻めにされていて、言っていることが本当か否かわからないケース、また、話を聞くたびに、子供の話が違ってくるケース。子供が虐待の事実を認めないが、虐待が強く疑われる外傷があるケースなどである。このような場合の対処は、各自が経験上行っていることが多いと思われるし、勉強しようと思っても、虐待児のカウンセリングについての本は多いが、事実の聞き取り方の本は本邦では、まったくなかったのが実情である(論文も少ない)。しかし、アメリカでは、この問題の本はかなりたくさん出版されている。この本は、そのような本の中で、比較的よく読まれている本を訳出したものである。虐待関係の実務に従事している人は是非、購入して読んでおくべきである。また、裁判官や医師、弁護士等も、虐待のケースを扱う場合には、是非、一読しておくべきであろう。この本の出版は、日本の虐待関係の実務の質を確実に向上させると思われる。