１３世紀のイングランドのお話
ま〜、女は持参金つきの「もの」扱いですね！！

「わたしの黒い騎士」の時代背景はヘンリー三世治世時。
当時貴族に生まれた男子は、７歳くらいで親戚や大領主に預けられ
小姓として礼儀作法や馬の乗り方をしつけられ、１４歳くらいで従者になって騎士に仕え
２１歳くらいで騎士にふさわしいと認められれば、叙勲式を経て騎士になれました。
一方女性は、幼いころから親元をはなれ、貴族の城か女子修道院で養育され、親に結婚相手を決められて、遅くても１４歳くらいで結婚して、その際に、夫には持参金がわたされるわけです。

で、この夫がろくでもないと、妻は持参金を返さないために、いびり殺されたりします。
おそろしい・・。
　
この物語でも、ヒロイン・ジリアンは、サドのおやじに鞭で打たれ、頼みの綱の兄貴が死んで、その兄貴の親友（黒い騎士）が「妹を助けてくれ」と遺言された約束を守るために結婚するんですが〜、と展開するんですね〜。
これ、シリーズものです。
この作品の中で、ちょっといい感じの「コリン」が、次回作の主人公です（＾＾）

ヒロインは父親の命令で「イングランドの禍」と呼ばれるヒーローに嫁がされます。
噂では、夜な夜な悪魔崇拝の儀式を行い、子供の生き血を飲むとされる恐ろしい男です。

ヒロインは父親に虐待されていたため、臆病で自分に自信を持てない性格で、嫁いだ後もいつ儀式の生贄にされるのか、ヒーローに殴られるのではないかとビクビクして過ごします。
ヒーローもある事情から、ヒロインに関わるまいと避け続けます。
しかし、ヒーローはいつしかヒロインを守ってあげたいと思うようになります。
始めは自分の人生を肯定するための保護欲だった感情が、だんだんと変わっていき…。

登場人物のキャラクターがとても素晴らしいです。
ヒーローの心をつかむため、いじらしい努力をするヒロイン。
ヒロインを優しく見守り「もっと生意気になっていい」と励ますヒーロー。
獰猛で野蛮な外見の下に優しい心を隠しているコリン。
大人になりかけの瑞々しい魅力を振りまいているジェイソン。
３人の魔女たちもいい味出してました。

ヒロインとヒーローがお互いのために自分の恐れを克服し、立ち上がろうとするシーンは、涙なくしては読めませんでした。
「愛って素晴らしい」と感じられる一冊だと思います。

13世紀イングランド。父親から度重なる虐待を受けていたジリアン(ﾋﾛｲﾝ）は亡くなった兄の知り合いのﾌﾞﾗｯｸﾓｱ領主ｸﾘｽﾄﾌｧｰ(ﾋｰﾛｰ)に嫁ぐことになる。ｸﾘｽﾄﾌｧｰは黒い竜又はｲﾝｸﾞﾗﾝﾄﾞの禍と言われる恐ろしい騎士で、ｼﾞﾘｱﾝはそれを鵜呑みにして嫁いでいく。だが結婚式で実は彼は盲目であることがわかり、最初は互いの内気な性格からお互いを誤解をしていたが幾つかの出来事を介して真実の気持ちをつかみ取る。とにかく脇役のキャラがいい味を出していました。全ての悪の根源であるﾋﾛｲﾝの父親は善を全く持っておらず、子供も食い尽くす本物の悪魔。側近のｺﾘﾝはﾋﾛｲﾝの父親であるかの様に慈愛の目で接している。そして一番は村の魔女3人。2人を優しく見守る姿そしてﾋｰﾛｰに本当の目は心の中にある事を訴えるシーンは中々でした。
ラブシーンは目立たないのですが、二人の心の変化を細かく丁寧に描いていて互いを思いやるセリフはジーンと来るものがありました。読後感もほっとする作品でしたね。

リン・カーランドは大好きな作家さんなので、翻訳本がいつ出るかとず〜っと待ってました！！
兄弟などが主人公の話などスピンオフ作品（出版本で家計図が出来るくらい！）も多いので、一人一人の気持ちや人物描写がとっても丁寧で、他の作品もどんどん続けて読みたくなってしまいます。正直このお話よりも次作のコリンが主人公の方が好きなのですが、次作を理解するにはこの本を読んでしっかり人物背景が理解できてると一層楽しめます♪

私は翻訳化が待てなくてほとんど原書で読んでしまいましたが、次作はいつ出るのでしょうか？！待ちきれないです！！できればシリーズ全部翻訳本出していただけるとうれしいです！！

題名を見る限り、少女マンガを思わせてしまうのと、黒騎士という題名のヒストリカル本が何冊があるので、正直あまり期待していませんでした。ところが！！一言で言うと、とても面白かったです！！人物の心理描写がたくみにえがかれているのと、周りの状況も丁寧に描かれていているので、理解しやすく、すぐに物語りに引き込まれてしまいます。脇役もとっても魅力的で、一気に読めました！！一読あれ！