イギリス編・リヴァル親子対決も決着
★★★★☆
パリの一流ブランドのリヴァルの総帥であるオヤジさん、イギリスのブランド乗っ取りに力をいれるギルレーズハウスについた長男のエリック・リヴァル、主人公のもとに逃げ込んでいる弟のセルジュ・リヴァル。それぞれが各ブランドの対面と威信を賭けて戦う羽目になった壮絶な親子喧嘩。巻き込まれる方はたまったものではありませんが、偉大で専制君主的な父を越えるための戦いには息子達も一歩もひかず前17巻から続いた戦いはいよいよ佳境です。
ということで、この18巻はそれぞれが意地をかけてぶつかる戦いの巻で、戦いの素材はイタリア輸入の純度100%のカシミアを使ったスーツの仕立て。中国高地やカシミール地方のカシミア山羊から取れるそれを使っての仕立て勝負となります。それぞれがそれぞれのイギリス仕立て、フランス仕立て、イタリア仕立てで勝負するのはなかなか見ものの戦いです。同じスーツ一つとってもお国柄が出ていていつもながら興味深いです。
また、そういう物語の合間合間にも主人公の織部悠は、イギリスのチョコレート職人の為に一着、没落貴族のために一着、環境保護運動かの為に一着と仕立てをこなしていき、そのそれぞれに蘊蓄と面白さがあります。ストーリーやネタに関して、本当にどこまで引き出しがあるのかますます楽しみなシリーズです。
今回の主役は・・・
★★★★★
ヒューイット卿とその家族(詳しく書くとネタバレになる)。この漫画の面白いところは織部さんが個性豊かな依頼主にあわせて様々な服飾サービスを施すところ。香港人と英国人の事情やチョコレートやエールや植物の話がからんでネタ満載の濃いお話でした。しかしテーラーさんて依頼主の色々な話に反応して自分の創造力を働かせる大変な御仕事!豊富な技術を持ちかつ好事家でないとやっていけないのか?
次点はリヴァル親子。パリでの成り上がり方や弟子の育成方法などが面白かった。
絵としてはorder109で4人の針子の「ちくちく四重奏」がなんとなく微笑ましい。
イギリス編、遂に完結!
★★★★★
収録内容
order104 チョコレート工場の秘密
ヒューイット卿の紹介で訪れたショコラティエ、ミラノでの出店が不振な彼の為に織部は・・・
order105 二つの祖国(前編)
またもやヒューイット卿からの依頼が、そして彼の依頼先にいた老人は・・・
order106 二つの祖国(後編)
予算無制限のお任せ仕事だった今回の仕事、それに対する彼の仕事は・・・
order107 アーサー王の剣
ジュリアが手に入れた最高のカシミア、それが原因でギルレーズ・ハウス、ジラソーレ、リヴァルの三社で親子対決が・・・
order108 不思議の国のアリス
ヒューイット卿が今度はラウラに依頼を・・・袋小路に陥った彼女は織部の言葉にインスピレーションを受けて・・・
order109 銀色の道
オリエント急行に乗った織部達一行、そんな彼らに油田王チャールズからの難依頼が・・・
イギリスにおける問題が遂に解決!
しかし今巻ではかなりの難依頼(order108、109)が連続して登場していますね