盆と正月とGWが同時に来たような
★★★★★
今から数千年後の未来、火星のオリュンポス山に住むギリシア神話の神々が、ナノテクを駆使して紀元前のトロイア戦争に介入している、という設定だけでもSFファンを引き付けるのに十分なのに、さらに謎の生物ヴォイニックスや下僕と呼ばれるロボットたちにかしずかれ享楽に耽るだけの古典的人類たちの物語や、木星の衛星から派遣された半生物機械モラヴェックの凸凹コンビ(マーンムートとオルフ)の火星冒険譚が絡んでくるという、盆と正月とGWが同時に来たような大変なにぎわいのある豪華なSF作品である。
モラヴェックの凸凹コンビによるシェークスピアやプルーストに関する文学談義は読んでいて楽しく、読者の緊張を緩めるのに一役買っている。以前のハイペリオン四部作よりもかなり読みやすくなっている。