センス・オブ・ワンダーの風
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ここへ帰ってくるのは何度目だろう。 未踏の曠野にセンス・オブ・ワンダーの風が吹いていたあの頃 私は若かった。 遠くに 風に向って歩を進める人影が見え 誰か知らないその人とも 熱い連帯感で繋がっていたあの頃 私はほんとに若かった。 前方には クラーク ハミルトン ハインライン アシモフと言った巨匠達の背中が 見えていたのだ。今でもここへ来ると その風が感じられる。その世界は少し善意に満ちすぎて単純かも知れない。未知の世界の冷酷ささえもちょっぴりの善意を持っているのかも知れない。しかし 「太陽からの風」ーー何と言うこともない太陽風帆船のヨットレースのお話なのだがーーなどを読むと そのイメージは今でも新鮮で心を打つ。解き放たれて宇宙の深淵へ向うヨットを 主人公と一緒に見送ってワクワクしながら 恥ずかしげもなくちょっと涙ぐんだってよいではないか。センス・オブ・ワンダーの曠野へ ようこそ