労作ではありますが、鵜呑みにするのは良くないかも
★★★☆☆
ある人がこの本を評して「外国人の傲慢な言動を糊塗する本だ」と書いておられるのを見たことがあります。
もちろん私には、どちらの意見が正しいのかは判りません。
しかし、そういう可能性がまったく無いとも言えません。
いろんな人が、いろんな角度から調べるべきものだと思いました。
お粗末な語学力のもたらすもの
★★★★☆
「日本人は12歳の子供と同じ(マッカーサー元帥)」、「日本人はエコノミック・アニマルだ(パキスタン・ブット外相)」、「日本人は鶏小屋に住んでいる(EC報告書)」。これらの日本人を否定的にとらえた表現は、英語原文に当たると中性的な意味しかなく、なんら否定的な意味を持たないことを著者は確認して示してくれる。
たとえば、当時のパキスタンのブット外相が日本人記者に対して言った Economic Animal のAnimalは Political Animal などと同じように、「〜好きの人」という中性的な意味であり、侮蔑どころか、むしろ「日本人は経済活動にかけては大変な才能がある」という褒め言葉だ。常識で考えても、一国の外務大臣ともあろうものが、面と向かって他国を侮辱する言葉を吐くはずがないではないか。
このように、本来は中性的な表現を否定的に曲解し、それが日本社会に定着した原因は、新聞記者のお粗末な語学力と、主観的な思いこみ、そしてそれに伴う裏取りの欠如にある。
本書の後半は英語の時制、冠詞、単数/複数、語彙などに関して発生した国際舞台での悲喜劇のエピソード集だ。
付録として上記の3つのエピソードの原文が載っている。
本書は外国語習得の困難さを自覚して謙虚な態度で外国語に向き合っている人のお薦めだ。
日本人の心を健全にさせる本
★★★★★
何気なく買ってみて読んだら、掘り出し物だった。
日本人を侮蔑する外国人の発言として有名なものの多くが実はそうでなかったということを地道な調査で検証した好著である。日本人は外国人にこんなに批判されている、日本人はこんなにつまらない人種だとマスコミ、評論家からり返し聞かされてきて日本人に自信をなくさせてきた言葉が、実はこともあろうに日本の自虐的マスコミ関係者の基本的英語能力の欠如からくる誤解が原因であったことを喝破した本である。著者は惻隠の情から誤解、誤訳をした新聞記者の特定を避けているが、引用の記事などを原典にあたれば簡単に特定できよう。半ば意図的に誤訳、誤解をしたこれら新聞記者達の責任はどうなるのだろう。
この本とニコール・キッドマン主演映画「ザ・インタープリター」
★★★★★
この本の副題に「.....誤解と誤訳の近現代史」とあります。
この本を読んだあとニコール・キッドマンが通訳を演じる映画 "The Interpreter" を観ました。幼い頃アフリカで家族を失ったキッドマン扮する女主人公が長じて同時通訳になり、勤務先の国連で怖い話しを盗み聞きしてしまう。事態を追求しようとして食い下がるキッドマンと上官の次の会話がこの映画の圧巻でした。
上官 "You are just an interpreter!"
(毅然として)キッドマン "Countries go to war because of misinterpreting each other!"
...現実の外交舞台で相手側の英語の正確な解釈の重要性ひいては誤訳の重大性と向い合う著者の経験と、キッドマンの演じる国連通訳のひたむきな姿勢には共通するスピリットがあります。英語という言葉を正確に学び、いいかげんさを排したい人には為になる本です。
映画「ザ・インタープリター」(ニコール・キッドマン)とこの本。
★★★★★
この本の副題に「.....誤解と誤訳の近現代史」とあります。
この本を読んだあと偶々ニコール・キッドマン主演の映画 "The Interpreter" を観ました。
幼い頃アフリカで家族を失ったキッドマン扮する女主人公が長じて同時通訳になり、勤務先の国連で怖〜い話しを盗み聞きしてしまう。事態を追求しようとして食い下がるキッドマンに事勿れ主義の上官が曰く:
"You are just an interpreter!"
これに対してキッドマンが毅然として切り返すセリフがこの映画の圧巻:
"Countries go to war because of misinterpreting each other!"
現実の外交舞台で日々相手側の英語の正確な解釈の重要性ひいては誤訳の重大性と向い合う著者の経験と、キッドマンの演じる国連通訳のひたむきな姿勢には共通するスピリットがあります。英語という言葉を正確に学び、英文解釈のいいかげんさを排したい人には為になる本です。