趣味を超えた官能の味
★★★☆☆
人によっては未知な世界であり、人によってはすでに経験した世界だが実際にワイン(この中ではオーパスワンだけ飲んだことがあります)にはオーバー過ぎるくらいの歓喜を呼ぶ力があると思います。そして官能の時に感じる興奮と余韻を与えてくれると実際にそう感じました。それは理屈や値段ではなくどこか本能的な感覚が刺激されるからではないでしょうか?
この短編集にはそういうものが詰まっていると思います。一度読んで見ることをおススメします。
余談ですが、シャトーディケムは「ブドウの木一本からグラス一杯しかとれない」と言われる程でヴィンテージと熟成年数により100万を超えるものもあります。
ワイン一杯だけの真実
★★★★☆
この先、1本10万円のワインを飲む事はないかもしれないが
この小説を読む事によってその官能を感じる事ができる。
なかでも"モンラッシェ"のラストシーンの夢の描写は切なく、しかし
そこには確固とした真実があり、美しい。
芸術品のような歴史あるワインのもたらす快楽もそのようなものなのだろう。
人間はひとりきりであり、快楽は刹那であり、それを肌で感じることこそに「真実」がある。
ワイン一杯から、その真実をこんなにも美しく官能的に描き出せる村上龍は素晴らしいと思う。
龍さんの世界
★★★★☆
あらゆる種類のワインが登場し、それぞれのワインをめぐる短編がいくつもが繰り広げられている。舞台も海外だったり、日本だったり様々だ。どことなく不思議な空間で、そして少しエロティックなニオイのするあたりは本当に龍さんの世界、という感じだ。だけどなぜかその不思議な世界も自分に重ね合わせて考えてしまうから不思議だ。非日常の世界もなぜか自分の眼前に迫ってくるのだ。
大人の男性、大人の女性に、ぜひ。
女とワインの間に広がるRyu's world
★★★☆☆
それぞれがワインの銘品にちなんだ短編集。 「ワインと女の短編集」と言うと 敬遠、辟易される向きもあろう。しかしこれは、村上龍の短編集、風味が違う「女とワインの短編集」。 女とワインの間には Ryu's worldが広がる。