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A Hell of a Woman (Vintage Crime/Black Lizard)

価格: ¥1,108
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Vintage
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毒性高い ★★★★★
暴力小説です。派手にドンパチやって、いっぱい人が死ぬとか、いっぱい血が流れるとかじゃないです。暴力小説でなく、小説暴力といったほうが正しいかもしれません。この小説が小説自身の自己破壊を試みます。また、読者をそれに巻き込もうとしています。まるで白昼の通り魔テロのようです。あなたが読後、どのような評価を下そうが、必ずあなたに傷痕を残すであろうことを保証いたします。
死ぬほどいい本 ★★★★★
古いけど、凄くシンプルでいい!
一日で読んでしまうほど、ハイスピードです。
うつくしい破綻 ★★★★★
稚拙すれすれの乱暴な文体・描写、下品なギャグ、
単純で平板なストーリー。
そう書くとまるでクズだが、
どういう訳かトンプスンの描写には
読み手を引きつける不気味な単純さとでも言うべきものがある。
そして、この本のキモはなんと言って終末部。
そこのイカれっぷりは凄い。

終わりの数ページで、結局何が本当なのか読み手も
理解出来ないまま、唐突に物語はばらばらに解体されて
終わってしまう。

この展開には、誰しもが驚愕するだろう。
といっても、探偵物や犯罪ものにありがちな「意外さ」を
期待すると裏切られる。

文字通り、「ばらばら」になるのだから。

とぎれとぎれに読まない方がいい。

一晩で一気に読むと、格別の感覚が味わえる事を保証します。
かくもイカれた破滅があっただろうか? ★★★★★
 さてトンプスン作品群の中で最も過激なラストを有する衝撃の一冊! ぼくが最初にトンプスンを読んだのは『サヴェッジ・ナイト』だったが、その結末に魅了させられて以来トンプスンを追いかけている。はまったというやつだ。

 その作品でも相当にいかれた結末なのだが、他の意味であまりの物語的破綻ぶりに、受けた衝撃はかなりこたえた。まるで自分の小説とのつきあい方というものに対してに、ずしりと新しい錘をかけられたみたいだった。その『サヴェッジ・ナイト』結末以来の破壊的なラストが本書にはある。

 破滅的なラストというのならわかるのだ。登場人物たちが皆殺しになって何もかもが物語の中でペシミスティクな週末の迎え方をして、読後に空しいほどの後味の悪さが残るとでも言うのならそうではなく、本書のラストは、まさに物語から断裂し、破綻している。ほとんどの読者を置き去りにして。

 単純極まりない犯罪小説である。ある女と出会い、その女に、性格が破綻したかのような主人公の訪問販売員が心を奪われる。汚穢のなかで呼吸を続けてきたような男の人生にとってはまるで自分の中の他人のように、それは新しい感情だ。その違和感を同居させながら、男は破滅に向かってただただ一方的に堕ちてゆく。

 雑な計画から雑な殺人、継いで感情的な殺人へと男は狂ってゆく。冷酷でエゴイズム剥き出しの男は語りの中でさえ嘘をつき始める。前衛的な描写によってトンプスンは読者を圧倒する。男はやたらに読者に話しかける。胡散臭さでいっぱいの毒々しい声がまるでこちらの脳内にまで響いてくるようだ。悪夢的体験。これぞジム・トンプスン! という作品的流れだろう。

 そしてすべてが悪夢の中に終わる。手が離せず、何度か読み返す。これぞ、ジム・トンプスン! そう言える掛け値なしの一冊だ。敢えて普通にはぼくはお薦めいたしません。ぼくは大好きだけれども。