さすがはオスマン帝国史の第一人者の鈴木董さんです。この上も無く詳しいイスタンブル案内になっています。写真も多く文章も写真に負けず劣らず、しっかりと解説してくれています。なんといっても縦三段組です。

　それにしても、このイスタンブルの本、欠点がないわけでもありません。ローマ帝国、ビザンツ帝国時代の記述が少ないことが決定的です。執筆者の専攻がオスマン帝国史にあることを考えれば致し方ないことなのかもしれませんが惜しいことは惜しいです。

　その点は鈴木さんちゃんと踏まえてらっしゃるようで、巻末に参考文献を示してくださっています。ビザンツ帝国時代の紹介もあります。ちょっとだけの不満は残ったのですが、内容的に非常に詳しく、かつ写真も多く実にオスマン帝国史第一人者、鈴木さんならではの本領発揮という感じを受けました。お薦めの一冊です。

イスタンブルの歴史的建造物が綿密に網羅され、それぞれに詳しい歴史考証と意匠の説明がはいる。地図、図版も豊富で、写真も良い。イスタンブルの歴史書として、また写真集としても優れているが、何よりこの一冊があれば中途半端なツアーガイド不要と思えるほどの緻密さは鈴木教授ならではのものだ。
歴史に関心があってイスタンブルを訪れる人は必携！お勧めです。

類書のなかでは一等すぐれた「イスタンブール歴史案内本」です。なかでもオスマーン・トルコ時代の建造物の史的解説は、やはりトルコ史研究家ならではのもの。カラー図版が多く、トプカプ・サラユ内の情景はとくに興味深いものがあります。 ただ、あくまでも初歩的な入門書ですから、宦官制度や女人政治の詳細な説明は他の本によるしかありません。

また、かつてトルコ人の間で盛行した男色や少年愛に関する記述も、残念ながら見あたりません。