もっと期待したい
★★★★☆
09年のある夏フェスでLove Beatを演奏する彼をテレビで観て、クラフトワークっぽいなぁと思い、Wikiで彼のことを知り、なるほどと思いこのアルバムを買いました。
クラフトワークがExpo2000のマキシで再始動し、2003年に「Tour de France Soundtracks」でアルバムを出した、ちょうどその中間の時期にリリースされたこのアルバム。少なくともクラフトワークぐらい、できればクラフトワーク超えしてほしいと思い聴きました。
音も声もリフレイン中心で構成されており、メロディーが無いのでBGMにはいいのですが、アルバム1枚は辛いです。一番良いのはやっぱりLove Beat。
あと彼ではなくスタジオワークの問題だと思いますが、音の空間がExpo2000やTDFほど無く、狭いというか、膜が張っているような閉塞感を覚えました。特に前半3曲。このあたりは将来リマスターで直せるかもです。
かなり完成度が高い
★★★★☆
2001年に、およそピッタリだっただろう。
”テクノポップ”と言うと言い方はチープだが
範囲内で活動する砂原良徳の正直な音への気持ちが全面に感じられる作品で
必要なものだけを選んで完成度の高い楽曲に仕上げている
下品になる事無くcoolを貫く
寂寞の境地。枯れてます。
★★★★★
電気時代、とくに前期は
ややお子様向けなシンセ音を好んでいた
「まりん」こと砂原良徳ですが、
全身テクノ人間の石野卓球に比べると
作曲ペースがほぼ半分かそれ以下ということもあり、
「控え」的存在に甘んじていたことは否めません。
電気後期と一部重なるソロ時代に入ると
一転してモンドっぽい音を出し始めましたが、
この時期、秀作には事欠かないものの
(1stのサンディが歌う"Clouds across the Moon"とか
2ndの"Journey beyond the Stars"〜"No Sun"あたり)
正直、いささか背伸び感があったというか、
「大人」な音楽を目指すあまり
本来の方向からやや逸脱していたような気がします。
ところが、このアルバムに至って、
何やら彼が本来出したかった音を
ほぼ自由自在に出せているというか、
今までの作品に多かれ少なかれあった
「空回り感」がどこにも見当たらないというか、
一皮剥けたという手ごたえのようなものが
確実に伝わってくるのです。
細野晴臣がクラフトワークの音を出すと
ちょっとこれと似た感じになるのかもしれませんが、
ある意味、両者がなしえなかった境地を
地味ながら大胆に切り開きつつあるとも言えます。
ここまで突き抜けた音を出してしまうと、
次がどうなるのかいささか不安ではありますが、
YMOでいえば『BGM』『テクノデリック』級の傑作を
これからも何枚も出してくれることを切に願う次第です。
振れ幅限界。
★★★★★
前作「TAKE OFF AND LANDING」がコラージュ、サンプリング多用による
足し算の極みだとしたら、
「LOVEBEAT」は引き算の極み。
無駄な音は一切排し、限られた手駒で最良の響きを得ようとしています。
ただどちらも振れ幅いっぱいまで突き詰めているので、
次回作がどうなるのか心配。「過剰」「必要最低限」の次は…
ということでコンセプト的には手詰まり感もあります。
ぜひ次回作はシリアスになりすぎないで、
「楽しさ」で振れ幅いっぱいいってほしい気もします。
美しい
★★★★★
近年で最も優れたエレクトロニックミュージックのアルバムはこのlovebeatではないだろうか。
この手の音楽で全編通して聴けるものは非常に少ないのだが、それを軽くクリアしてしまっているし、
また全てのトラックにおいて品位が損なわれていないことも奇跡的だ。
例えばiMacの女性的なフォルムをそのまま音源データ化したらこうなるんじゃないかというぐらい優美だ。
そして優美さと同時に情熱をも持ち合わせているこのアルバムは、最早ソウルミュージックだ。
carl craigなどに感じるファンクネスをこのアルバムにも感じる。
既に4年も前のアルバムになるわけだが、私はこれ以上のアルバムに出会えていない。