自己の内面世界を巡礼するEC!!!
★★★★☆
1998年、Eric Claptonのアルバムです。
(「From the Cradle」(1994) → このアルバム → 「Reptile」(2001)の流れです。)
このアルバムは、
クラブ・ミュージック的なプログラミングによるバックトラックが出てきたり、
「ギター」よりも「歌・楽曲」重視になっていたりして、発売当初、結構、非難されたアルバムです。
ただ、特異なのは、tr. 3 & 5くらいかな?と思います。
父親を持たずに幼年期を過ごしたECが、自身が父親になった経験から生まれた曲、tr. 1
リラックスしたムードで感動的な歌・ギターを聴かせてくれる、tr. 2
哀愁感を漂わせつつ、アコースティックを奏でる、tr. 6 (次作「Reptile」の雰囲気です)
心に染み入るような、Bob Dylanのカバー、tr. 9
内省的、シリアスで、哀愁感が漂うラスト、tr. 14
。。。他にも、素晴らしい楽曲が並びます。
演奏は、
EC (G, Vo), Simon Climie (Key), Pino Paladino (B), Nathan East (B), Andy Fairweather-Low (G), Joe Sample (Piano),
Steve Gadd (Dr), Paul Carrack (Hammond), Paul Waller (Dr Programming) etc
シリアスで、内省的な楽曲が多く、ECも「自叙伝的」だと語るアルバムです。
ECが自身の過去を巡礼し、過去のその時、その瞬間を、1つ1つ浄化していくような印象です。
聴いた後、何となくスッキリする、何となく癒される、そんなアルバムです。
「昔、聴いたけど、今は。。。」なんて人は、また聴き直してみてください。
一応、好みが分かれると思うので、「☆-1」させてもらいました。
(中古盤・激安です。。。が、決して「使い捨て音楽」ではありません。)
(参考)
日本盤は、ボーナストラック「Theme from a Movie that Never Happened (Orchestral)」収録。
ソングライターとしての集大成
★★★★★
オリジナル・スタジオアルバムとしては実に9年ぶりとなる本作。前作である”journeyman"は80年代以降の迷走を断ち切る力作であったが、"unplugged”や"from the cradle"そして”change the world"の成功を経て”アーティスト”として大きく成長した彼が満を持してリリースしたのが本作。外部ライターによる楽曲提供やカバー曲も多いclaptonだが、本作ではほぼ全編に渡って自作曲が並ぶ。
「父親としての自分」と、「自分にとっての父親」をダブルミーニングした(1)に始まり、失われた三年間(薬物中毒時代)を歌った(2)や亡き息子に歌う(6)等、自身の内面に迫った詞世界が胸を打つ。
音楽的には、プログラミングを多様した無機的なリズムトラックと生々しいボーカルが不思議なくらいに美しく調和しており、90年代の最高傑作と言えるだろう。
ギターに関して言えば派手さこそ無いものの、随所で素晴らしい演奏を聴かせてくれる。(13)のソロは名演だ。
クラプトン本人をして「もっとも気に入っている作品の一つ」と言う本作。もっともっと評価されるべき作品だと思う。