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贄の夜会〈上〉 (文春文庫)

価格: ¥760
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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最高傑作 ★★★★★
間違いなく香納さんの最高傑作です。

主要登場人物である刑事とスナイパー、それぞれの物語が奥深く、とてもよく描かれていて最後まで一気に読めてしまいます。

ここ数年間に読んだ本の中でも最高のクライムノベルですね、読んで損はないです。
骨太のごっついストーリー。 ★★★★☆
短篇の美しさと技に定評のある作者の渾身の力作。


長さが気にならない程、テンポのよい展開。
妻を殺されてしまったプロフェッショナルの殺し屋、ノンキャリアの疲れた刑事、
少年の頃に殺人を犯しながらも弁護士として社会に帰ってきた男、そして男のいう「透明な友人」とは?

それぞれが重厚に書き込まれ、時にヒットマン小説を読むような、時に刑事ドラマを読むような、
いわゆる一粒で数回楽しめる作品。

その縦のストーリーにやわらかな色を加えるのが、刑事の妻や殺し屋の亡き妻への思い。

ほんの少しだけ不満があるとするならば、刑事の部下の死は必要だったのか?という点
(もちろんこれと次に続く従兄弟の死によって、妻へのかかわりに信憑性が出たともいえるのだが)と、
心理学者の女性が最後に登場したときのまとめかたというか書かれかたが少し、
雑だったように見えたところ?


深読みしすぎかもしれないけどもしかしたら、予定外の長期連載になり、
むりくり山場を持ってきてのつぎはぎ?なんて少し思っちゃった。


なので悩みつつも、★4つ。
色んな要素が絡み合った、“香納流ハード・ボイルド”超大作 ★★★★☆
’06年、「このミステリーがすごい!」国内編第7位に輝いた、文庫上・下2分冊に渡る超大作である。「このミス」の解説によると、本書は、’99年に「第52回日本推理作家協会賞」を受賞した『幻の女』と並ぶ、香納諒一の畢生の傑作ということである。

物語はふたりの女性の惨殺から幕を開ける。そしてこの猟奇殺人を追う、組織から逸脱した刑事、孤独な殺しのプロフェッショナル、そして謎の真犯人と、三者の追跡と闘いを、真正面からたっぷりと描いている。

少年犯罪、犯罪者は本当に更生するのか、といった問題、それに暴力団の抗争、プロの殺し屋、警察内部のキャリアとノンキャリアの問題、公安と刑事課との綱引き、警察内部の腐敗構造、あるいは被害者の人権、復讐、そして猟奇殺人・シリアルキラー、サイコサスペンスといったことが複雑に絡み合って、“香納流ハードボイルド”ストーリーは展開してゆく。

刑事にしろ、殺し屋にしろ、他人の心を操る謎の殺人者にしろ、その過去と生き様は、それぞれ、それだけでひとつの作品ができそうな重みとボリュームを持っている。

加えて、初出が、『別冊文藝春秋』の連載だったこともあり、各章にヤマ場が設けられており、これだけの大長編を飽きることなく読ませてくれる。そして第五章の「慟哭」で物語は大きく転回し、第六章(終章)の「暴走」で、刑事と殺し屋が出会った時、衝撃と感動の大団円が待っていた。

本書は、香納諒一が構想執筆に6年を費やした、読み応えじゅうぶんの大作である。