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海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈下〉 (塩野七生ルネサンス著作集)

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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したたかなヴェネツィア、しかし国防に失敗 ★★★★★
 上巻に続いて、ヴェネツィアの繁栄から緩やかで優雅な死までを描いた大作である。塩野女史が他の作品に描いた東地中海の歴史物語をヴェネツィア側からじっくり堪能できるのが楽しい。
 下巻では、スペイン等の強力な海洋帝国の出現とトルコとの戦いにより、徐々に海洋国家の実力を失い、イタリア本土の農園経営によりヴェネツィア人気質が変化する様子が描かれる。最後はナポレオン相手に非武装中立を唱え占領され、静かにその歴史の幕を下ろす。
 しかし、数百年に渡って貴族が無償で共和国の国政に携わる気概、民主主義の主体かつ人財プールとしての元老員、非常時には10人程度で迅速に国家方針を決めてしまう委員会等は、国体として参考としたいものだ。我が国の参議院も国家的人財プールたることを願って止まない。
 しかし、ヴェネツィアがイスラム占領下のエルサレム聖地巡礼パックツアーまで実施していたとは驚きである。しかも滅亡寸前の平和時には、ヴェネツィアそのものを観光地化した才覚には本当に呆れるばかりだ。外資を呼び込む観光立国の先駆けだ。
塩野女史のベネツィアへの愛情がこの本の魅力です ★★★★★
私の敬愛する竹田青嗣氏によれば、世の中の価値観は「真・善・美」に集約されるという。

この考えが正しいのであれば、歴史の場合、「善・悪」の価値観で評価するのではなく「真・偽」の価値観で認識すべき「事象」のように思う。

「情」と「理」の対立軸でいうならば、「情」で評価するのではなく、「理」で評価すべきなのではということ。

塩野女史の著書を通読していると、彼女の歴史観というのは、、常に「善・悪」や「情」でなく、「真・偽」及び「理」の視点で認識しようとする姿勢があり、非常に気に入っている。

しかしながら、塩野女史は、「善・悪」で評価はしないものの、「好き・嫌い」で評価しているところは読み手も共感できるところだ。本人も言及している「カエサル」好きはともかく、「ヴェネツィア」に対する彼女の愛情はこの著書を読みながらひしひしと読者に伝わってくる。

下巻の394ページより、
「栄枯盛衰が歴史の理ならば、せめてこのヴェネツィアのように、優雅に衰えたいものである。そして、ヴェネツィアが優雅に衰えられたのは、ヴェネツィアの死が、病気や試練をいく度も克服してきた末に自然死を迎える人間の、死に似ていたからではないだろうか。」

あらゆる苦難を国民の団結と知恵で切り抜けてきたヴェネツィア。私はこの「第13話 ヴィヴァルディの世紀」の最後に記されたこの文章を繰り返し読みながら、すっかりヴェネツィアの虜になってしまった。
ヴェネツィアの興亡 ★★★★★
ヴェネツィア千年史を描いた下巻。

オスマントルコの勃興により、ヴェネツィアの隆盛にかげりが出始める。「文明、国家の衰退とは」を描いた秀作である。著者の視点からヴェネツィア衰退を丁寧にたどる。下巻は特に頂点を極めた国家がじわじわと衰退し、崩壊するまでのストーリーであり、物悲しさが漂う。ただ、読後の感覚は脱力感ではなくて、改めて勇気を持とうという気持ちになれる。

組織が国家が衰退するにはさまざまな理由があるのであろうが、時代の変化(技術革新を含む)に対応できなくなると、興隆の原因が衰退の原因となる。繁栄の期間が長く、成功が大きければ大きいほど、成功体験を早期に修正して変化することは難しくなる。まさに企業や個人にも当てはまる。謙虚に失敗に学び、成功体験にしがみつかず、時代の潮流を読み臨機応変に変えていくことが出来るのか?そして、避けられない衰退ならことさら優雅に、高い精神性を持ち美しく滅ぶ。かっこいいんだけど、難しい。あきらめない不屈の精神力と、やれることはやりつくした後の潔さ。矛盾する二面性をもてるのか。
塩野氏の男性への叱咤、施政者への評価、とても手厳しいが愛情にあふれている。組織にかかわるものとして、塩野氏への回答を自分なりに自分の組織に返していけるような仕事をしなければ、という気持ちにさせてくれる作品である。
最盛期を迎えた国家が衰退に向かい滅亡するまで・・ ★★★★★
ジェノヴァとの制海権争い、オスマントルコとの断続的な戦争を戦い抜くヴェネティアだが、時代はすでに大航海時代にはいっていた・・・。海運の衰えを工業や農業の発展で補い、18世紀にヴェネティア文化は爛熟に至った。同世紀末、ナポレオンのイタリア侵攻により同国の独立は終わりを告げる・・・。

「歴史家は、国の衰退はその国の国民の精神の衰微によるという。だが、なぜ衰微したかについては、われわれが納得できるような説明を与えてくれない。」
著者は、隆盛を極めたひとつの国家が終焉を迎えるまでを丹念に描いていく。こうも言う。

「少なくともヴェネティア史に関するかぎり、このような単に精神の衰微や堕落のみに立脚した論にどうしても賛同することができない。」
こうした視点で描かれる歴史は、前巻に増して、諫言・警句・教訓に富み、飽かせない。
「20世紀のわれわれは、君主制はすべからく悪である、という色めがねを外すことから始めなければならない。」

「社会の上下の流動が鈍り、貧富の差が固定化し、結局はその社会自体の持つヴァイタリティの減少につながる。こうなってはもはや、いかなる改革も、いかなる福祉対策も効果はない。」
「英雄待望論は、報われることなど期待できない犠牲を払う覚悟とは無縁な人々が、自己陶酔にひたるに役立つだけだからである。」

歴史に学ぶ、とは言い古された言葉だが、そうした知的好奇心を満足させてくれる名著。
「栄枯盛衰が歴史の理ならば、せめてこのヴェネティアのように、優雅に衰えたいものである。」
見事!

最盛期を迎えた国家が衰退に向かい滅亡するまで・・ ★★★★★
ジェノヴァとの制海権争い、オスマントルコとの断続的な戦争を戦い抜くヴェネティアだが、時代はすでに大航海時代にはいっていた・・・。海運の衰えを工業や農業の発展で補い、18世紀にヴェネティア文化は爛熟に至った。同世紀末、ナポレオンのイタリア侵攻により同国の独立は終わりを告げる・・・。

「歴史家は、国の衰退はその国の国民の精神の衰微によるという。だが、なぜ衰微したかについては、われわれが納得できるような説明を与えてくれない。」
著者は、隆盛を極めたひとつの国家が終焉を迎えるまでを丹念に描いていく。こうも言う。

「少なくともヴェネティア史に関するかぎり、このような単に精神の衰微や堕落のみに立脚した論にどうしても賛同することができない。」
こうした視点で描かれる歴史は、前巻に増して、諫言・警句・教訓に富み、飽かせない。
「20世紀のわれわれは、君主制はすべからく悪である、という色めがねを外すことから始めなければならない。」

「社会の上下の流動が鈍り、貧富の差が固定化し、結局はその社会自体の持つヴァイタリティの減少につながる。こうなってはもはや、いかなる改革も、いかなる福祉対策も効果はない。」
「英雄待望論は、報われることなど期待できない犠牲を払う覚悟とは無縁な人々が、自己陶酔にひたるに役立つだけだからである。」

歴史に学ぶ、とは言い古された言葉だが、そうした知的好奇心を満足させてくれる名著。
「栄枯盛衰が歴史の理ならば、せめてこのヴェネティアのように、優雅に衰えたいものである。」
見事!