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流刑の神々・精霊物語 (岩波文庫 赤 418-6)

価格: ¥648
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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多神教と一神教 ★★★★★
古代ギリシア・ローマの神々が、キリスト教の広まりとともにどこへ行ってしまったのか、そのことにいち早く目を向けて、ヨーロッパに残る神々のその後の姿を描いたのが、この作品である。訳者の小沢俊夫は比較民話学者だから、柳田国男にこの著作が影響を与えたという興味深い仮説を提示しつつ、日本ではキリスト教が、とふしぎなことを言っている。むしろ日本では、こうした民俗神を抑圧したのは、キリスト教ほど苛烈ではなかったにしても、仏教であったろう(小沢も、一カ所だけ、浄土真宗に触れている)。
 だが、19世紀以降、ロマン派の詩人や藝術家は、こうした異教の神々を復活させていき、ギリシア悲劇は復活し、ワグナーの楽劇や、トルキーンなどのファンタジーを開花させることになる。ヨーロッパといえばキリスト教、といった単純な比較文化論に惑わされないためにも、必読の書である。
民俗信仰のあり方 ★★★★★
 新しい文化が輸入されることで、これまでの信仰が駆逐されてしまうことは歴史上珍しいことではありません。しかしキリスト教のようにそれまで信仰されていた神々を零落させ辺境に追いやった例は少ないでしょう。この点について比較的キリスト教の政策を受けずにすんだ日本人にとっても薄ら寒いものを感じるのではないでしょう。
 若き日の柳田国男も『流刑の神々』の読んでおり、民俗学を専攻する要因になったのではないかと訳者の小澤氏は述べています。ハイネも柳田も古き信仰が蹂躙されるのを見るに耐えなかったのかもしれません。
 もちろん現在の観点からすれば単純にキリスト教批判の書として読むのは危険でしょう。しかし「民族の信仰」を考える上でこれほど有益な作品はありません。