インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ナショナリズムという迷宮 ラスプーチンかく語りき (朝日文庫)

価格: ¥651
カテゴリ: 文庫
ブランド: 朝日新聞出版
Amazon.co.jpで確認
迷宮の出口 ★★★★★
野中広務の評伝で有名なジャーナリスト、魚住氏と、言わずと知れた『知の怪物』佐藤氏との対談本の文庫化。
序文において佐藤氏が語る、『思想とは、当たり前だと思っていることで、私たちが普段、抱いている思想は対抗思想である』
という定義はかなり的を射ている。佐藤氏の慧眼が本書でも十分に発揮されていると言えるだろう。
このように、序盤では佐藤氏の民族やナショナリズムに対する理論を魚住氏が聞き手にまわって頷いているという構図がとられている。
しかし、後半での魚住氏が野中広務の取材をした際に感じた差別に関する疑問や丸山真男論を語り合う部分などは
魚住氏の長年のジャーナリストとしての経験や思索が垣間見え、二人の対談の価値を高めている。
全体としては小泉政権時代の新自由主義とファシズムの相克に対する論評となっているが、
それは今の時代に読んでも色褪せることない洞察を私たちに示してくれる。
また、タイトルであるナショナリズムに関するゲルナーの著作からのアプローチや、蓑田胸喜論なども、とても読みごたえがある。
最後の文庫版あとがきにある、小沢一郎と検察の対立構図に対する両氏の考察は週刊誌や月刊誌では見られない、卓越したものだ。
2010年が始まって間もないが、この一年を予測し、考察するための重要なバイブルが文庫化されたことを素直に喜びたい。
一杯のコーヒーからはじまる、佐藤優版「ナニワ金融道」 ★★★★★
『コイン2枚でコーヒーが買えることに疑念を持たないことが「思想」なんです。そんなもの思想だなんて考えてもいない。当たり前だと思っていることこそ「思想」で、ふだん私たちが思想と口にしているのは「対抗思想」です。』という佐藤氏の言葉から始まる。

国家、民族、宗教を題材にオウム事件や小泉政権、ライブドア事件をまじえ佐藤氏とジャーナリスト魚住氏が現在を語る対談集第一弾。

佐藤氏のユーモアと知性を交えた言葉と誠実な魚住氏による白熱した対談は非常にスリリング。

特に小泉政権がファシズムとなりえなかったのは「やさしさ」の欠如であるという分析やマルクスの「ブリュメール18日」を交えた解説はとても面白かった。

その他、各宗教の時間感覚やコーヒーの話にも通じる喫茶店やサロンの文化とマスメディアの誕生の関係。日本のジョセフ・マッカーシーともいえるかもしれない蓑田胸喜の時代の知識人の姿から日本の集団主義についての話など話題は尽きない。

佐藤優本は金太郎飴的な物もあるが読みやすさと面白さで本書は佐藤本の中でもかなり上位ランクに入ると思います。おススメです。
大した見識大した知性 ★★★★☆
 佐藤さんのものを読むとやはりその知性とそれに裏付けられた見識に驚きます。対談形式の書物をたくさん出されていて、書き下ろしをじっくり読みたいのに残念ということで星ひとつ。
 堀江モン事件の整理は見事だし、小泉政権の総括もまず間違いないところでしょう。
 新市場主義がイデオロギーの過ぎないこと、理論的巧緻を凝らした数式を散りばめた現在の経済学の成果が資本の提灯持ちに過ぎないことを見通している知性は大したものだと思いますよ。
 次はいわゆる近代経済学についての書物を読みたいですね。フリードマンとかハイエクとか。
買ってはみたけど・・・ ★★☆☆☆
筆者の著作にはまっていたので買ってみた。筆者の経験にもとづくリアリティ、論理の明確さ、誠実なスタンスに惹かれたからだ。でも、この著作を含め、思想関連本はあまりいただけないというのが率直な感想。ある種の主体の作為や謀略を前提にした筆者の議論は面白いし迫真性があるが、思想・政策の話にはそのような面白さはなく、むしろある種の国家主義的な観点が気にかかる。

本書は社会思想・科学の入門書のような内容がほとんどで、目新しさはそれほどない。その多くは比喩とアネクドートに彩られていて(その分面白く読めるというメリットもあるのだが・・・)、リアリスティックだが実証データの裏づけも乏しい。わが国の知的風土と昨今の社会状況にマッチしているのかもしれない。

このような問題は、例えば新自由主義的な流れに対する安直な評価につながっている。小泉改革を含め新自由主義的な取り組みは、資本という限りある資源をより効率的に使うことを主眼にしているのであって、人間を個に還元することを狙いとしているわけではない。それに、今日の一見新自由主義のせいに見える問題をどこかの国の謀略や役人の作為に帰するのは無理がある。

新自由主義的な取り組みがなかったらもっと状況は悪くなっていた可能性があるが、ナショナリズムの色彩を帯びた感情的な評価のみが一人歩きしているのが、昨今の状況。このように新自由主義の影響について実証的に確立された評価が存在しないなかで、筆者はマスコミによく見られる論調を吟味もせずに安易に話を進めていく。それにともなって、対抗軸として国家やナショナリズムがメインディッシュとして料理されるという仕組み。なお、この筆者の著作の多くでは、国家や国体が絶対化された神格のように屹立している印象を受ける。ある種の信仰抜きでは、すんなり受け入れられないかもしれない。

アニメの登場人物たちが国家や思想を考える上でのヒントになるとは・・・ ★★★★★
あとがきで魚住昭が紹介しているように、佐藤優の言説の活躍の場は、「正論」「世界」
「SAPIO」「週刊金曜日」「新潮45」「月刊現代」「文藝春秋」と非常に幅広い。
佐藤優による巻末の文献解題も秀逸で、対話中、佐藤優がかみ砕いて説明してくれたそれらの
文献を思わず買いあさってしまった。読んでみると、佐藤優の解説の的確さがよくわかる。
クレヨンしんちゃんと「思想」、イエスの「国家」と「貨幣」に対する戦略、ねずみ男の
バランス感覚と「原罪」思想、ブッシュと星飛雄馬の共通点、サザエさんと中世ヨーロッパ、
ホリエモンと「貨幣」、ゴジラ=「国家」と「貨幣」=東京タワー・・・次から次へと、
意外なたとえで引き込まれていきます。
封建社会の地獄絵と、そういう世界から解き放たれた、徹底した個が自立した先の地獄絵・・・
国家とはどうあるべきか、国民とは何か、民族とは何か、ナショナリズムとは何か、
自分のアタマで考えるヒントをくれたような気がします。
とは言え、やはり佐藤イズムの新しい言説を読みたくなってしまう。