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テロルとクーデターの予感 ラスプーチンかく語りき2

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 朝日新聞出版
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やっぱり、緊張感は前作ほどではない。 ★★★★☆
 前作のナショナリズムという迷宮―ラスプーチンかく語りきの緊張感溢れる対談を期待しましたが、やや拍子抜け。結論が「小さなコミュニティを作っていく」というのも、(コロンブスの卵なのかもしれませんが)普通すぎます。あと、全体的にも国家による支配が強まることを心配してますが、むしろそこは機能不全の方が心配だと思うのですが… 例えば、ある軍人が政府の方針を批判したことなど、むしろそれを微温的に処理することに統治機能の崩壊を感じてしまいますが、いかがでしょうか。
タイトルの本筋にたどりつくまでが長いな。 ★★★☆☆
佐藤優と魚住昭の顔合わせと煽情的なタイトルに惹かれ衝動買いしたが、これは些か購入が勇み足と思える本だった。
まえがきで、佐藤は、新自由主義が自壊しつつある中、世界でファシズムの萌芽も見える新帝国主義が台頭してきたと語る。そしてその上で、排外主義的なファシズムに対抗する為に、社会主義思想と保守、右翼思想の柔軟かつ真摯な対話こそが有効と主張し、明治以降の日本の社会主義の経過と資本主義経済の病理を学術的、思想的に追う。宇野幸蔵や中江兆民、幸徳秋水らの著作をテキストに、時折マルクスを引き合いに出しながら、その系譜を考察する。
爆笑問題の太田光と中沢新一によるベストセラー「憲法9条を世界遺産に」の中に見える他者への優位性とナショナリズムを嗅ぎ取り、分かり易くロジックで喝破してみせたり、資本家と労働者の間で唯物論を奪い合ってきたとか、大杉栄の現代の後継者はロスジェネ世代の人々であるとの読みは興味深いが、基本的にはお勉強しているようで、身にはなるけれど退屈な本。佐藤優の知識力と洞察力には相変わらず感服させられるが。
終盤になって現代の社会状況との関わり合いについて話が進み、俄然面白くなる。この路線でもっと読み続けたいと思うが、それは佐藤の別著を紐解かねばならない。


見たくもないものを直視する ★★★★☆
リーマンブラザーズの破綻以降、国際秩序・国内秩序が大きく転換する過程で対外的には新帝国主義、対内的には国家主義に向かうという見立てである。
新自由主義の放置により中産階級が転落し、絶対的貧困階級が拡大した。つまり新自由主義とは富裕層に有利な仕組み・制度でもあることが誰の眼にも明らかになって来た。
このような状況の下で、元厚生事務次官襲撃事件・田母神論文の報道について、メディアと視聴者の潜在的な願望がテロという物語を作り、国家機能強化への欲望が国防という面で現れたという解釈が披瀝されている。
この本には、新自由主義の理解のためにアリストテレス以降のマテリアリズム、社会ダーウィニズム、マルキシズム等が取り上げられている。
そして、社会の有りようとして、商品経済の論理でなく、相互扶助の論理でもなく、対価を求めない(親のように)贈与(喜捨)の論理・隠れていて見えないが社会はこの論理が支えている。という事が述べられている。
蛇足。最近、一人の経済学者が懺悔の本を出版した。新自由主義を信奉した理由は、その内在的論理でなく留学時のアメリカの豊かさにあったようである。もう一人の元政治家・学者はホリエモン化しているように見えるがどうなるのだろうか。変わり身の速いマスコミに仲間と共にサヨナラされるのであろうか。