でも、普通なら、ここの建物が美しく、ウンヌンカンヌン。だとか、そこの空は、わが国とは違う色を放っていたホイサノホイ。と、旅日記らしい描写が出てくるかと思いきや、そんなことは無く、あくまで、彼テイストで、面白おかしくとらえた場面だけ、抽出されていたりする。
普通のカラーじゃないのが、彼、ジャン=フィリップ=トゥーサン。彼は、彼色の個性でモノを書く達人なのだ。
彼の作品に触れると、自分の個性とは何ぞやと改めて自分を見つめ直す時が作れるので好き。
我等がトゥーサン永遠に(笑)
野崎さんの翻訳裏話とも相まって、この世にこれだけ贅沢な世界を出現させられることを100頁あまりで教えてくれる。読者に、生きて書いてこの世に「引っ掻き傷」をつける気を起こさせてくれます。ただし、旅記ですが旅行は扱っていませんので御注意。