やわな解説書ではありませんが、挑戦してみる価値あり
★★★★☆
一代を画す密教学の碩学にして一頭抜きん出た高僧が空海密教を網羅的に語る価値ある一冊。雑誌『大法輪』に連載されたものだが、内容はかなり高度で噛みごたえあり。密教理論に向学心をもつ方におススメです。
やわな解説書ではありません。とにかく挑戦してみる価値はあります。ところどころ、省略が過ぎて説明不足と感じました。編集者は偉い先生に注文をつけることは憚られたのだろうか、などと勝手に推測してしまいました。空海密教という同じテーマで、ひろく一般向けに平易に書かれたものとして、最近では武澤秀一さんの『空海 塔のコスモロジー』(春秋社)、『マンダラの謎を解く』(講談社現代新書)があります。身近な山から高峰へ、という選択もあるでしょう。