「世間」と環境の関係
★★★★☆
「世間」はどのような時に顔を出すのか?どのような反応が返ってくるのか、またそれはなぜなのか、について詳しく言及しています。
この本を読んで驚いたのは日本の「世間」は気候と住まいの作りに大きく関係していることです。蒸し暑さが「仕方がない」という感情を生み、薄いふすまや障子で出来ている間取りが音を聞くことによって相手の配慮を生みます。
著者がイギリスに留学したときに月がコントの背景にある描き割に見えた、という例から日本人は無意識に音を意味づけしている、だから和歌や俳句が生まれきっちりした石造りの住まいに住む欧米では自分を見つめなおす事から思想が生まれた、という説明に納得しました。
納得しました。
★★★★☆
今まで感じていたことですが、このように書いてあると自分の気持ちも整理できました。
もっといろいろな方に読んでもらいたい本です。
とても読みやすい「世間論」
★★★★☆
日本に「社会」は存在しない、あるのは「世間」だけだ、という阿部謹也氏の「世間論」を、より噛み砕いて説明してあります。さらに「世間」は、日本の近代化過程のなかで、古臭いものとして解体し消滅するどころか、かえって膨化、肥大化しており、これが90年代の「息苦しさ」、「閉塞感」に結びついている、と説きます。いちおう書名にあるとおり、「世間論をフッサールの現象学で読み解く」ということになっていますが、とっつきにくいのは方法論に触れた最初だけです。ビビる必要はありません。