著者は「日本政治思想史」の大学教授。およそ一般向けに書かれたとは思えないが、繙いてみると思考の「枠組み」を変えてくれる。
幕府、将軍、天皇・・・
歴史用語として普通に使っている言葉が江戸時代は使われていなかった。逆にその言葉を使い始めたものには深い思惑があった。
対象を考えるのに、まずその言葉の厳密な意味から考えていく。

豊富な資料を博引旁証しながらの明快な論証は江戸時代の日本の思想に
対する興味を起こさせると同時に、「今」を考えるときの立脚点を見直させてくれる。