活力と管理 戦略は行動
★★☆☆☆
アメリカ育ちでも、おぼっちゃんでもなく、
戦火から逃れて亡命してきたという、深いバックグラウンドがあり、
その環境は彼の強みにどう影響したのか? 探りながら読まずにはいられない。
著者のリチャード・S・テドローさんは、物語を書くプロではないため、
地域情勢や背景を細かく描き過ぎていて、
上巻の前半、下巻の後半がかなり冗長 (おまけに日本語訳のリズムも悪い)
上下巻を読んでも、
楽しめるのは1巻分なのが残念なところ。
面白くなってくるのは、上巻の4章、新天地のアメリカに渡ってから。
しばらくすると、スティーブ・ジョブズも出てきます。
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アンディ・グローブは生まれつきの天才というより、
勉学に関しては秀才タイプ
(凡人からすると相当の頭脳だけど、周りに天才がいすぎた)
しかし、周囲の環境と、自らを変化させることに努力する点、
集中力を維持することに関しては、完全な天才型といえる。
幼い頃から、死神に付きまとわれてきた彼は、
その時に得た不安と恐怖を、経営に存分に活かしていて、
心配性の人が読んだら、それだけで胃が痛くなったり、
心臓が止まったりする出来事が多々描写されている。
そんな試練を、読みながらトレースし、
市場支配力に繋がる自社開発の重要さを
学べるのは大変ありがたい。
いかに生きるかのロール・モデル
★★★★★
この週末に「アンディ・グローブ上下」を読みました。
インテルで14年間勤務し、「インテルの戦略」を翻訳し、
アンディ・グローブ自身の著書も数多く読みましたが、
新しく学べたことが数多くありました。
グローブがノイスとムーアに対して抱いていた気持ちは
初めて知りました。自伝では書かれなかった部分が
評伝によって初めて明らかになりました。
グローブが若かった頃の上巻から下巻の前半部分が非常に
おもしろかったです。
アンディ・グローブが個人として、職業人として
直面する問題に向き合って奮闘する部分がおもしろくて、
むさぼるように読みました。
「プロフェッショナル・マネジャー」の著者である
ハロルド・ジェニーンは、私が自分のキャリアを
考える上でのロール・モデルです。
本書に描かれているアンディ・グローブは、
いかに生きるべきかについてのロール・モデルです。
何回も読み直したいと思います。