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幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)

価格: ¥546
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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高野秀行の隠れた「凄み」 ★★★★★
高野秀行氏の本は、妻が大変なファンであるため御覧のようにほとんど我が家にある。
正直言うと、最初は「早稲田探検部のやつが海外冒険した時の自慢話してる軽い読み物だろ?」とバカにしていたのである。
ところがちょっと前ふと気になって「異国トーキョー漂流記」を読み、その文章力と醒めた人間観察力に驚かされ、「アジア新聞屋台村」「ワセダ三畳青春期」などなどの著作物を次々と読んでいく羽目となったのである。妻は「だから言ったでしょ?面白いって!」と得意顔だ。

で、先日彼の処女作「幻獣ムベンベを追え」を、夜になってから読み始めたのだが、これまたたまらなく面白いのですね。コンゴの湖に幻の怪獣を見つけに行ってしまうその顛末を記したもものだが、とにかくその行動力、タフネス、取材力、どれをとっても参ったとしか言えない男の子たちの冒険物語。
一緒に行った仲間がマラリアで死にそうになっていようが、ゴリラを解体して食おうが、ムベンベを見つけるためならその精神はびくともしない。

僕も学生時代はインドや中国で8ミリフィルムをまわしていい気になっていたが、この本を読むと子どもの遊びにもなっていない、自分の青春とは何だったのかなと考えさせられる。それほどにインパクトのある書である。

10数年後に書かれたという文庫版のあとがきもいい。
若者たちそれぞれが就職したりしてそれぞれの道を歩んでいるわけだが、マラリアで一人動けなかった隊員から届いた手記が考えさせる。
高野という人は深刻ぶった「人生論」を書くことを潔しとしない書き手である。しかし軽妙なユーモアの背後に常にこうした冷徹な人間観察が潜んでいて油断できない。
若いって良いね。バカだねー。 ★★★★★
 コンゴのテレ湖に怪獣ムベンベを見付けに行く話である。

 「オイオイ」とつっこみたくなるこの冒険に臨むのは、世間的には秀才のはずの早稲田大学探検部の学生達だ。
 冗談半分の遊びかと思うと、本人達は到って真剣である。
 「オイオイ」

 この冒険の中心人物で本書の著者である高野秀行氏は、公用語のフランス語の他に現地の言葉のリンガラ語まで勉強してる。
 ”リンガラ語”何か賑やかで楽しそうな名前の言葉だ。
 因みにアフリカの地図を見てもリンガラという国はない。この地域の共通言語のようだ。難しい言語ではないらしいが、日本で先生を見つけるのはひと苦労だ。

 また、資金力のない彼らは、あらゆるつてを使い、企業を説得し水中ソナーや暗視スコープなどの機材を提供してもらう。その行動力には舌を巻く。
 そんな準備段階の奮闘・苦労から本書はスタートする。

 予算は一人70万。学生が集めるには大変だが、それでもぎりぎりの予算だ。彼らは金に余裕がない上に、金でサービスを買えないジャングルに行くのだから、苦労せざるをえない。
 無意味な苦労は嫌みに感じるが、彼らの苦労はすがすがしい。

 テレ湖に到る40日では、各所に立ち塞がる役人や部族とのネゴに次ぐネゴが待っている。
 通り道が沼地であれば、何時間でもズボズボと歩いて行くしかない。
 本当に苦労してる、頑張ってる。でも、感動するのとはちょっと違うかな。評者は笑いながら読んでしまった。

 実際の怪獣探索は退屈だが、食料調達は楽しい。蛋白源はジャングルの動物達だ。野生動物を狩って食う。本当に冒険だー。

 高野氏の文章はデビュー作と思えぬほど、生き生きとして読みやすい。思わず「大変だね。がんばれ。若いって良いね。君たち本当にバカだねー。」と声を掛けたくなる。

 怪獣探索は結局、発見せずという、至極まともな結果に終わった。
 大失敗であるが、代わりにゴリラを食べれたのだから、良しとしましょう。
学生時代に,こんな楽しい事ができたなんてのはうらやましい ★★★★☆
コンゴの奥地にあるテレ湖で,早稲田の探検部が過ごした33日間の軌跡。
学生時代に,こんな楽しい事ができたなんてのはうらやましい。読んで,そのキャンプ地を想像するとき,そこにムベンベが出てきそうな気がする。
ホントにノンフィクション? ★★★★☆
この本を読んでいて、最後までノンフィクションだとは信じられませんでした。

大学の冒険サークルで突然、「アフリカのコンゴに行って、幻の怪獣ムベンベを探そう」と、提案した著者。あれよあれよと、その意見に同調者11人が集まり、スポンサーを募り、コンゴ共和国を訪れ、ジャングルで数ヶ月間の調査活動を行う。もちろん、その活動は生死を伴うものです。こんな馬鹿なことが本当に現実なのでしょうか。

彼ら調査団は現地人と交渉をし、サバイバルなジャングル生活を送り、食事はサルやゴリラの丸焼き、ついにはマラリアによる重病者も発生。読んでいて、ムベンベのことなんかどうでもよくなってきます。

単なる若者の道楽冒険と言ってしまえばそれまでです。しかし、その若さゆえの無茶ぶりには大人になって失ってしまったモノがあるような気がします。とはいえ、真似したいとは思いませんけど。
若さとバカさへの一大賛歌 ★★★★☆
「早大生2名マラリアで死亡、無謀なアフリカ探検で」
「杜撰な計画、思慮に欠けた行動 ー 問われる大学探検部のあり方」
・・・一歩間違えばこんな見出しが新聞、雑誌に踊り、一大バッシングを受けていたことでしょう。実際、同じ早大探検部員2名がペルーで国境警備の兵士に殺された事件では、当時の橋本首相が率先して彼らをそう非難しました。(これに対しては西木、船戸両氏をはじめOBが痛烈な反論を行いましたが、イラクでの邦人殺害事件を見る限りこの国の政治家は何も変わっていないようです)
ですが、そんな無謀で愚かな若者たちを応援したくなってしまうんです、この本を読むと。
いいじゃないですか、学生ってのはいっぱいバカなことをして失敗して、他人の世話になり迷惑をかけながら、いろいろ学んで大人になっていくんですよ。大人に言われたことだけしかやらない安全第一のロボットみたいな若者だらけになっては、社会が窒息してしまう。こういういい意味でバカなヤツらを温かく見守ってやれる大人にならなきゃなぁと、バカになりきれなかった自分の学生時代を省みながら思ったのでした。