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マイクロファイナンスのすすめ―貧困・格差を変えるビジネスモデル

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東洋経済新報社
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マイクロファイナンスがブレイク ★★★★★
 貧困問題が深刻化するアメリカで民主党が政権を取り、オバマ大統領になりました。ヒラリー・クリントン国務長官は夫のビル・クリントン元大統領とともにマイクロファイナンスの熱心な支援者として知られていますが、オバマ大統領もマイクロファイナンスを支持し応援しています。大統領にとって低中所得者層の底上げは重要な課題で、健康保険改革など中間層をターゲットにした政策に取り組んでいますが、2009年8月には、マイクロファイナンスの創始者でノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス・グラミン銀行総裁に、アメリカで文民に与えられる最高の栄誉である「大統領自由勲章」を授与しました。

 日本でも、派遣切りや非正規雇用などワーキングプア、失業者、母子家庭など、これまで手つかずだった貧困・格差対策が焦眉の政策課題になっています。日本に深刻な貧困などないと思われてきましたが、本書が指摘するように、日本の貧困はもはや否定しようがない事実です。

 バングラデッシュなどの開発途上国だけでなく、アメリカやフランスなどの先進国でも実施されているマイクロファイナンスが、これまで日本になかったこと自体がおかしいと言えばおかしいようにも思います。それほどまでに日本が優しくない社会になっていたということかもしれません。本書では、貧困・格差を変える具体的なマイクロファイナンスのビジネスモデルが詳細に述べられており、日本でマイクロファイナンスを導入する実践的な道筋が示されたと言えます。日本でもマイクロファイナンスがブレイクする日は近いかもしれません。多くの人に読んで考えてほしい本です。
日本でマイクロファイナンスを始める!! ★★★★★
 日本でもマイクロファイナンスを始められる方法を示し、国内外の貧困の解決に向けて新たな道筋を明らかにした書である。そのための具体的な提言が多面的に、かつ丁寧に記述してある。マイクロファイナンスは、日本では2006年にムハマド・ユヌス・グラミン銀行総裁がノーベル平和賞を受賞して、一時報道されたものの、日本に救済すべき貧困が存在するにもかかわらず、どういう訳か顧みられなかった。本書は、その原因を分析して、日本での普及策を具体的に提示している。一般に思われているのとは異なり、マイクロファイナンスは開発途上国のみならず、欧米の先進諸国でも普及している現状が紹介される。日本にも応用できるマイクロファイナンスの具体的ビジネスモデル(受け皿組織の作り方、融資原資の資金調達の仕方、具体的なマイクロファイナンスのモデル、企業・金融機関・市民が具体的行動を起こす根拠・合理性等々)が詳しく説明されている。特に、「ふるさと金融」や「インターネット融資方式」などの豊富な資金調達方法は、貧困削減のためだけでなく、環境保護、福祉、医療、地域再生などの社会的課題に取組む人々にとっても応用できるビジネスモデルだ。
 本書が取上げる貧困の範疇は海外と国内の貧困・低所得者両方であり、それを横糸にして、金融機関、一般企業、市民、NPO、政府、地方自治体などの各主体の役割を縦糸にして、それぞれがどんな役割を果たすことができるか、果たすべきかがマトリックスになるように述べられている。
 また、本書では貧困や格差を真正面から捉え、詳しい分析がなされている。内外の貧困について、その定義、現状、救済すべき貧困、貧困と格差の区別などの説明が分かり易い。表2-1(p.115)は、年収200万円未満が、1,731万人(役員を除く雇用者の34%)に及ぶという、新しい数字を総務省の統計資料から導き出している。本邦初公開のインパクトの大きい表だ。
 次に、企業とは何か、CSRとは何かなどが分析された後、「企業は社会のもの」との考え方が示されている。金融機関については、SRIなどの新たな金融商品・手法の開発やソーシャル・インデックスの開発など新しい提案がなされている。マイクロファイナンスと消費者金融がいかに異なるものかが一覧表で示され、一般に流布する誤解を解いてくれる。個人には、社会起業の仕方が紹介されている。また、政府には、マイクロファイナンスへの政策支援や法制度の整備だけでなく、ODAや生活保護制度など現行制度の改正・改善の具体策やマイクロファイナンスを導入する際の調整方法など斬新な提案がなされている。政府当局者にとっても検討に値しよう。
 学生、市民、社会起業家などの個人、NPOだけでなく、一般企業や金融機関のできること、なすべきことの多面的な提案は、イデオロギーに基づく「右」とか「左」ではなく、フィージブルな政策提言だ。イデオロギーにアレルギーのある人にも受け入れられ易い論理で、傾聴に値するだろう。本書のメッセージは「共感」がキーワード。著者の情熱が伝わってくる、広い読者層におすすめの一冊だ。