至福の音世界
★★★★★
ナイン・ホーセスの、実質上のセカンド・シングルとなるだろうミニ・アルバム。
シングル曲と呼んで構わないだろう「マネー・フォー・オール」と「ゲット・ザ・ヘル・アウト」を筆頭に、輸入盤でアルバム『スノー・ボーン・ソロウ』を買っていた人には嬉しい、日本盤ボーナス・トラックだった「バーズ・シングス・ゼア・ライヴス」と、4曲のバーント・フリードマンによるリミックス、表題曲の別ヴァージョンとで構成されている。
シングル曲は2曲ともアップ・テンポで、小気味良い傑作曲。「マネー・フォー・オール」は女声コーラスが、「ゲット・ザ・ヘル・アウト」は挿入される弦楽器の調べが美しい。ともに、ライヴでの演奏も期待される。
リミックス(と別ヴァージョン)は、よくありがちなギッチンギッチンの浪費テクノ・リミックスなんかじゃあなく、楽曲の素質を活かした――デヴィッド・シルヴィアンの『オンリー・ドーター』を思い出すといい――聴きごたえのあるリミックス。荒げたギターの音色が付加されていたり、弦楽器が加わっていたりなどするが、どれも透明でしっとりとしており、根底に響く「歌」を破壊していない。寧ろやわらかく包んでくれている。
筆者はこれを、睡眠の友としている。心地好いリラックス感が得られる、至福の音世界だ。