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ミュンヘンの小学生―娘が学んだシュタイナー学校 (中公新書 (416))

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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読みやすい ★★★★☆
著者がドイツへ2年間留学した際に、娘の文さんを通わせたシュタイナー学校での出来事が中心につづられている。本書を読めばシュタイナー学校で行われている教育の概要が分かる。
例えば、
・8年間担任が変わらない。
・教科書を使わず、カリキュラムもない。
・通信簿には点数をつけない。

こんなことを書くと、こんな教育のどこがええねんというツッコミを受けそうだが、結構細かい工夫がなされているのだ。
シュタイナーは、子どもの心身の成長において3段階の大きなプロセスをもつという。その段階に合わせた教育を実践している。
文さんが通った低学年を見ると、天気と生徒の様子で授業内容を変えるとか、文法を習う時に言葉によって色分けするとか、算数は数遊びをひたすらやり気づけば加減乗除がみにつくとかね。特に低学年では、感性・感情を育むことに力を入れているとのこと。

担任の先生の資質によって左右される可能性は否めないが、長年生徒をじっくり観察出来るという点ではいいやり方だと思う。ただ、人間合う合わないがあるので、合わなかったら悲惨かな?
ただ、生徒のことを大切に思っているんだなあというのがところどころに見られる。家庭訪問に2時間もかけているし。

言語の教育では、歌を歌ったり、絵を描いたりして、文字より先に、耳から入る。発音が間違っていても直さない。まずはイントネーションやリズムを習得することを重視しているのだろう。また、書くことからはじめ、読むことは最初は一切しないという。結果的には読むのが早くなるという。
一方、日本の言語教育では、読むことありき。これは、中国(儒教)の教育による影響が未だに残るのかな?文字ばかり。英語の発音は棒読み。聞き取りは少なく、文法ばかり。おかげで、私のように8年間も英語を習って、文章はそこそこ読めるが、ネイティブの発音は聞き取れない人が大半だろう。

本書を読んで、生徒の個性を育む欧米の教育と画一化を図る日本の教育とう感想を抱いてしまった。近年の日本の先生は事務仕事に忙しいという。生徒のための時間を持てないとすれば、日本の学校教育現場における問題であるといえるだろう。未だに残る風習だと思われるが、日本の点数・偏差値主義は落ちこぼれを作り、又勉強は出来るんだけど、人間力が・・・という人を作る弊害が強い。

シュタイナー学校では、障害者も普通の生徒と同じく扱い差別化しないという。障害者学級なんて作る時点で、人間を差別しているのかも知れないね。

シュタイナー学校でやられていること全てがいいことかどうかは分からないけれど、参考になる点は多いと思う。
まだ日本はかわっていない。 ★★★★☆
1975年に初出版された本ですが、今よんでも非常に興味深い。
こういう学校で教育をうけてきた方が、どう成長するのかは、数年後にかかれた著者の本であきらかになるが、
お医者さんや、建築家、幼稚園の先生などになっていて、皆一様にシュタイナー学校にいってよかったといっている。
シュタイナーはカルトという方もおられるが、まず、そういう姿勢こそがシュタイナーが教える、差別や偏見をなくそうといった
姿勢に反していて、そういう傾向のある方にこそ、シュタイナーを学んで欲しい。
これを読んで排他的になっている日本は、まだまだ戦前の島国民族なのである。かわっていない。
シュタイナー学校で具体的にどういうカリキュラムがなされているか、よくわかる本なので、興味のある方は必見!
点数の付かない通信簿 ★★★★☆
1975年に初版が出ているが古さを全く感じさせない。ルドルフシュタイナーの基本思想が時代によって変わるものではないということを言っているのかもしれない。子どもの芯を作っていくために、どれだけのこまやかな愛情と学ぶというプランが必要なのかと思い知らされる。自分がやれていることのあまりの少なさに愕然とする。またのんびりやの自分の娘には日本の教育の中でどうかかわっていくべきなのかをもっと考えなければやる気をうまく引き出してあげられないのではないかという危機感が生まれる。目の前のテストの点とかを気にする以前に学ぶことは楽しいということをどう引き出いくか。見た目対極にあるヨコミネ式も同時に読んだのもあって心が揺さぶられている。日本の教育、教師のことを考えたい人にお勧めします
教師は人生の芸術家でなければならない。 ★★★★★
 教師は人生の芸術家でなければならない。

 著者は、
 「ミュンヘンの中学校」
 「シュタイナー教育を考える」
 「私とシュタイナー教育」
 「エンデと語る」
 「モモを読む」
 「幸福の法則」
 を書いている。登場する娘とは、

 「菜多沙」
 を共著とのこと。また、娘は、
 「私のミュンヘン日記」
 を書いているとのこと。

 訳書として
 「ミヒャエルエンデ」
 「ハーメルンの紙の舞踏」
 「シュタイナーの学校、銀行、病院、農場」
 がある。
現在、シュタイナー教育=「カルト教育」とされていることはご存じですか? ★☆☆☆☆
 子安氏のこの著書によって、日本にシュタイナー教育が紹介された。以来日本では、シュタイナー教育と言えば何か非常に先進的な、個性尊重の自由な教育のように思われている。
 しかし現在では、本場ドイツやアメリカでは、シュタイナー教育の真相が続々と明らかにされ、批判にさらされている。シュタイナーは教育者というより一種の神秘主義カルト宗教家だったのだ。「シュタイナー 批判」でネット検索してみてほしい。いろんなサイトが出てくるだろう。こんなオカルト教育を子供に受けさせることは害にしかならない。子安氏が礼賛するドイツでも、シュタイナー学校に入学する子供や親なんてのはかなり異端の目で見られているのが現状である。

 子安氏のこの著書は、批判の多いシュタイナー教育についてつまみ食いのようないいとこ取りの紹介しかしておらず、多くの日本人とくに若い母親に誤解と悪影響を与えた。この点で子安氏の罪は重い。欧米の先進的教育イコール素晴らしい教育であるという、一昔前の欧米崇拝論者の著作と思って注意して読むべき。