ここまではいわば「人界」の章で、人間世界がいかに腐敗しているかを、大きな誇張を含みながらも鋭く描いてきた。私はもちろん、エンターテイメント小説として、始君頑張れとか、続君冷静にとか、終君やっちゃえとか、余君実は期待しているよとか、茉理ちゃんけなげだ~とかキャラクターも応援してきたのではあるが、この社会批判も大いに楽しんだのであった。なんだかこのまま神界に行ってしまいそうでこわい。楽しみが減ってしまう。まあ、ここまで来た以上、最後まで付きあう所存ではあります。
ところでこの本の初版が出たのが89年4月。その年の秋にはベルリンの壁が崩壊して、やがて「ソ連」も無くなる。バブルも崩壊する。それがどのようにこのシリーズに反映するか、楽しみではある。