スー健在
★★★★★
買ってきてはじめて聴いたときはピンとこなかった。せっかく買ったことだし何度も何度も再生していたら、よさが分かるようになったアルバムです。最初はあまり好きじゃなくても、聴いているうちにメロディーのきれいさ・切なさがリスナーに浸透してくる部分があります。
失恋でも失業でも、自分にとって大切な何かを失ってしまったあとの喪失感に似た、すきとおった哀しみや、ある種の解放感があります。軽快なテンポの曲も多いけれど、リスナーである我々に届くものは軽くはなく、痛切で、ダイレクトです。
インダストリアルって言うんですか、カチャカチャした機械音サウンドも入っていますが、今回はむしろスザンヌの音楽の透明感をひきたてるのに成功しているようです。すこし奥まったところにある控えめなスーの音楽世界。前作までに比べてより深まったような印象を受けます。
相変わらず軽やかで、でも聞き飽きない
★★★★★
久々のSuzanne Vega。とっても楽しみで、さっそく手に入れました。
デビューから1990年代最初までの、かなり社会的な側面を持ったSuzanne Vegaは、
1990代から音楽的な幅を拡げ、いろいろ意欲的に取り組んできたと思う。
で、アコースティックにかなり傾いたんじゃないか、と言う前作から、果たして今回は。。。
いやぁ、好きですね。よかった。
相変わらずコケティッシュな声で、どこかひょうひょうとしているんだけどいずれにしてもとてもスタイリッシュ。
僕は、ニューヨークと言うより、むしろヨーロッパの街々を軽やかに散策しているような、そんな気がした。
一方で、アコースティックでカントリーな雰囲気。アメリカの中西部のイメージが浮かぶようなものも。
軽やかで嫌みがない曲作りだけど、聞き飽きない。
とても40代後半になったとは思えないみずみずしい声と曲です。
ブルーノート移籍第一弾
★★★★☆
6年ぶりの新作(2007年作)、さらにブルーノート移籍第一弾ということで、もしかしてノラ・ジョーンズ的な売り方をしていくのかという杞憂もあったが、その点は心配無用だった。確かにシンプルでまろやかなサウンドにはなっているが、ゆったりとくつろぐための音楽などでは決してなく、スザンヌらしさ気だるさと緊迫感のバランスが絶妙なフォーク・ロックとなっている。スザンヌという女性の音楽家としての成長具合を具体化するには、ブルーノートという老舗の音重視のレーベルに席を置けたことは、とてもいい時期だったという風に思える。強烈なインパクトを、もはや発する必要性はないということだろう。
一方、最近アコースティク系のシンガーソングライターを多くリリースするようになったジャズの名門レーベルが、今後どのあたりまでを許容範囲とするのかは分からないが、変な方向にシフトしないことを慎重に見守りたいと思う。