テロとの戦い
★★★★★
何年か前の日本SF大賞受賞作。
前から読みたかったんだけど、なかなか入手できなかったが、最近、改めて文庫化されたのを読んでみた。
上下巻2冊のかなり長い小説だけど、スリリングな展開というか一直線なストーリーで、あっという間に読ませた。
主人公の女性の悲しみと復讐についてはよく理解できたが、ただ、そもそものテロの背景とかの描き方が浅いかな。9・11以降の現在では、おそらく、もっと違う描き方になったのではないか。
面白くてやがて悲しき物語
★★★★★
上巻から続く復讐の物語は、下巻に入っても勢いをまして続いていきます。
この物語を印象深くしているのは、物語が閉じた後にのこる寂寥感だと思います。
何のために復讐をしたのか、何のために命を賭けたのか、そして何を得たのか。
読者は最後のページを読み終えた後、さまざまなレベルで重層的に問いかけられているこのような問いと向かい合いながら、壮絶な物語の余韻に浸るでしょう。
圧倒的な説得力
★★★★★
上巻を読んだ読者なら、読まずにはいられないだろう。
復讐に身を捧げた静香に、目的遂行のため、直接的に手を差し伸べる協力者たち。
遠く離れた場所から、彼女の身を案じ、救いを与えようとする、会ったこともない人々。
それぞれの想いを受け止め、最終ミッションが開始される。
灼熱の星で、静香を待つ結末とは…。
是非その目で、確かめてください。
そして、単なる勧善懲悪ではなく、現実の厳しさ、虚無感、無情さを感じさせつつ、
それでもかすかな希望を抱かせるラストシーン。
現実世界でテロの脅威が大々的にクローズアップされる以前に、
このラストシーンを書いていた作者には脱帽です。
SFという範疇にとどまらず、徹夜してでも読み通したくなるエンターテインメントの傑作。
今のところ、この作品が著者の最高傑作といって差し支えないかと思います。