ロバート・B・パーカーの女性探偵もの、「サニー・ランドル」シリーズ、第2弾である。探偵サニーが対峙する事件と、魅力的な登場人物たちが織りなす人生劇とが絡みあう物語というというのが、どうやら「サニー・ランドル」シリーズの定番スタイルのようである。
本作の依頼人は2人。まずは人生劇の方から、姉のエリザベス。ギャングの息子と警察官の娘という悲劇的な組み合わせのせいで愛し合いながらも離婚を選択したサニーにとって、有名大学出身のエリートで金持ちの夫を持つ専業主婦のエリザベスは、いわゆる「勝ち組」の女ということになる。徹頭徹尾、馬の合わない姉妹なのだが、今回エリザベスは夫ハルが浮気をしているらしいと泣きついてきた。調査結果から、姉夫婦は離婚へと発展。サニーの親友でセラピストのジュリーに相談をもちかけると、今度はジュリーも離婚を考えているという。夫、子ども、仕事、すべてを手に入れながら空虚感にさいなまれるジュリー。一見幸福そうな家庭を持つ女の幸せとは…。
そこへ登場する第2の依頼人は、レズビアンでフェミニストの女性、メアリー・ルー・ゴダード。性差別摘発のコンサルティング会社を経営する。男性ストーカーにつきまとわれているというので護衛を依頼してきたのだ。間もなくオフィス内で、メアリー・ルーに背格好のよく似た女性が射殺される。しかしメアリー・ルーはサニーになぜか、突然の解雇を言いわたす。
迷える女たちと迷いなきフェミニストという対立がそそる。本作も謎解きの鮮やかさよりも、女の生き様についてのドラマに力点が置かれているようだ。これが男性作家の手によるというところも、また興味深い。(木村朗子)
生き方をあれこれ
★★★★★
探偵小説としても楽しめるが,登場人物たちが自分の生き方をあれこれ模索しているのが面白い.主人公のサニーは,自立したプロフェッショナルとしての女性を模索しつつ,男性に対する「頼り方」をああでもない,こうでもないと試行錯誤することに.これを男性のパーカーが絶妙に描いているところがまた面白い.スペンサーシリーズ同様,ボストン周辺に実在するレストランがいくつも出てきて,登場人物がそこの料理についてあれこれ会話するシーンなどは,ボストン在住者としてはとても楽しめた.
気楽に読めるサスペンス
★★★★☆
人が何人も死ぬが、基本的には気楽に読める。警官上がりの女性探偵がマフィアで別れた夫やマッチョの友人の助けを借りながら、事件の核心に迫るという、安心して読める内容。
今回は事件の真相を知るために別れた夫に全面的に頼ったので、ちょっと物足りなかったが、ページ数も少なく、気軽に読める。
会話の部分で分かり難い部分もあるが、基本的に読みやすいので、気にしなければ楽しんで読めると思います。
高校生でもスラスラ読める
★★☆☆☆
女性探偵で離婚しており、犬を飼っている。Sara Paretsky の女性探偵 V.I.Warshawski を思わせるのはそればかりではない。V.I.はオペラを歌うのが趣味だが、こっちは絵を描くのが趣味。もっとも、V.I.のような深みはなく、性格も軽ければ文章も軽い。然るに、高校生でもスラスラ読める。それが、最大のセールスポイントではないだろうか・・・。
一言で言えば「女スペンサー」
★★★★☆
このシリーズは、一言で言えば「スペンサーの跡継ぎ」とも言える。他のパーカーの作品の特徴である頑固な男性、強い女性という傾向が見られる。ある意味で、単調だが、気に入れば飽きない内容で、最後まで読者を引き付けている。
おそらく、今後シリーズが続くのならば、本編にスペンサーが登場する日も近いだろう。
2冊目はさらにおもしろかった(^^♪
★★★★★
サニーの女探偵としての仕事の仕方やポリシーがよくわかります。ロジー(サニーの愛犬)はサニーといつも一緒だけど、犬嫌いのクライアントが探偵を依頼するのに、愛犬が一緒にいないと依頼はうけない…(笑)など、ハードボイルドの女版で、男性も脱帽いたします。元夫の父がマフィアであるため離婚、それでも愛し合っている2人、マッチョでお茶目なスパイク、家族の中で最も頼れる?相棒ロジーと…楽しく読めました。Family honor から続けて読んだのですが、犬とたわむれる描写がところどころにあり、英文でも一番よくわかる場面なのでほっと(^^ゞしました。