集大成2作品に、沖縄復帰をテーマにした異色のアイドル映画
★★★★☆
紀伊国屋書店による再リリース第3弾。今回は、そのフィルモグラフィーの中で、意外にも唯一キネ旬ベスト1に輝いた「儀式」に、大島映画初の青春アイドル映画「夏の妹」、そして、ジェレミー・トーマスと組んでインターナショナルなマーケットを意識した御存知「戦場のメリークリスマス」と言う一見異色のラインナップ。
ATG映画10周年記念作として、カラーワイド版、製作費倍額の2300万が投入された「儀式」は、美術監督の戸田重昌が大映京都撮影所内に350坪の旧家の大セットを建てた事が話題となったと言う。大島自身が、日本特有の冠婚葬祭の儀式を通して、戦後日本人の情念を描くと同時に自己の戦後25年間を総括したい、との意気込みで撮り上げた文字通りの渾身作で、殺気を帯びた緊張感と観念的な情念が充満する傑作。昨年亡くなった個性派俳優で創造社の同志であった佐藤慶の代表作でもある。もう20年以上前に観たきりなので、是非とも再見したい作品。
「夏の妹」は、“沖縄と“本土復帰”をテーマにオールロケを張りながら、その通俗性に、観光映画とか、青春メロドラマとか酷評されたらしいが、ラストの栗田ひろみの「力をつけて、もう一度沖縄に来るんだ!」との絶叫を含め、今観た方が素直に楽しめるんじゃないかな。
大島映画が、10代の女の子たちに熱気を以て迎えられた「戦メリ」は、83年製作だから、もう17年も前の事になるのか(笑)。“男たち、美しく”とのキャッチ・コピーが雄弁に物語るように、戦場に於いて展開される男たちの狂熱的でセクシャルな愛憎ドラマとの印象が強いが、たけし扮するハラ軍曹の位置こそ、戦時下での典型的な日本軍人の生き様と思考が投影されていた。大島の新劇俳優嫌いは、この頃から始まっていたが、実は、今作は、当初は、ヨノイ大尉役に滝田栄、ハラ軍曹役に緒形拳が振られていた。もし、このキャスティングで映画化されていたら、まるで毛色の違う作品になっていただろう。
やっとでますか
★★★★★
儀式、夏の妹、戦場のメリークリスマスの3本が収録されているそうで、すべて廃盤、オークションですべて高値で取引されているから、お買い得ですねー。夏の妹などあまり評価は高くないけど、当時の沖縄が観れて貴重だと思いますし、栗田ひろみの魅力も新鮮です。戦場は、いう事ありません。デビットボウイ、坂本龍一、ビートたけしとキャスティングの勝利です。カンヌ映画祭でグランプリ最有力にもかかわらず、今村監督の楢山節考に敗れたのには残念でした。大島渚監督のピンクのスーツが印象的です。大島監督も戦場以降病気で、復帰されて御法度を撮ったにもかかわらず、また、倒れられ次回作が観れないのが残念ですね。黒澤明監督自ら私の後は大島君に、と言っていましたから。お元気でしたらもっともっといい映画が観られたのにと思うと残念です。ただ残された作品は永久に残ります。映画好きな若いたくさんの人達に観ていただきたい作品です。