the grief of leaving hometown as if chased by men with stones never goes away
★★★★★
NHKのテレビ番組のJブンガクを見ています。
2010年の8月に一握の砂を紹介していたので読み直しました。
石をもて追はるるごとく
ふるさとを出でしかなしみ
消えゆる時なし
という詩を
the grief of leaving hometown as if chased by men with stones never goes away
と訳していました。
へー,そう訳すんだと
一握の砂 の中身と英語の勉強になりました。
英語にしてみると一握の砂 の良さと日本語の良さを再認識できることが分かりました
ユニークな啄木歌集
★★★★★
この歌集には明治から大正にかけて発行された、北海道、東北、東京など
各地の81枚に及ぶ、珍しい風景絵葉書が、見開きの頁で紹介されてます。
また啄木の生きた時代の風景と共に写っている、建造物や街を往く人々の姿は
啄木愛好者はもちろん、研究者にとっても貴重なもので必見の書です。
これだけでも本書の価値は充分です。
使用された写真は、「日本における絵葉書収集の第一人者」の協力を得て
かなえられたもの、と解説の頁にありました。
とてもぜいたくな歌集「一握の砂」だと思います。
また、文庫判で安価な値段にも感謝したいです。
そして巻末に付けられた 81枚の各絵葉書の索引には、
編集者の親切が感じられて嬉しくなりました。
自意識過剰、ストーカー、女好き
★★★☆☆
歌集『一握の砂』の初版本の体裁(2首1頁、4首見開き)を再現した文庫本。活字の当然のことながら大きく、読み易い。近藤典彦氏の解題も非常によい。
本歌集中、人口に膾炙した幾つかの歌が彼の天才を示すことに疑いはないものの、個人的には、彼の自意識過剰とストーカー的性格、女好きといった一面があからさまとされている点に注目させられた。
「こころよく/人を讃めてみたくなりにけり/利己の心に倦めるさびしさ」(26頁左)
「一度でも我に頭を下げさせし/人みな死ねと/いのりてしこと」(49頁左)
「その膝に枕しつつも/我がこころ/思いしはみな我のことなり」(212頁左)
「摩れあへる肩のひまより/はつかにも見きといふさえ/日記に残れリ」(144頁右、彼は美人を見つけると後をつける「好き歩き」の常習者であった模様)
「春の街/見よげに書ける女名の/門札などを読みありくかな」(243頁右)
「やや長きキスを交して別れ来し/深夜の街の/遠き火事かな」(249頁左)
今日彼が生きていなば、永山則夫や加藤智大のようになっていなかったと断言できようか。(勿論、打ち込める対象や思想、助けてくれる友人などが彼にはあったから、そのようなことはなかろうが・・・)個人的には、彼らとの比較論にも関心がある。