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立原道造詩集 (ハルキ文庫)

価格: ¥714
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川春樹事務所
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松本隆の詩を読むように。 ★★★★☆
松本隆の詩を読むように、

立原道造の詩に目をはしらせる。



「私らは別れるであろう 知ることもなしに
 知られることもなく あの出会った 
 雲のように  

            (またある夜に)」



「ささやかな地異は そのかたみに

            (はじめてのものに)」



「私らは立ちつくすのであろう
 
 私らの夢はどこにめぐるのであらう
 ひそかに しかしいたいたしく」



「空と牧場のあひだから ひとつの雲が湧きおこり
 小川の水面にかげをおとす
 水の底には ひとつの魚が
 身をくねらせながら 日に光る

 それはあの日の夏のこと」



「東の空には ゆるやかな虹がかかってゐた
 僕らはだまって立っていた 黙って

 また風が吹いてゐる また雲が流れてゐる
 明るい青い暑い空に 何のかはりもなかったやうに」



「或る風に寄せて」「枯木と風の歌」「風のうたった歌」
詩のタイトルを眺めているだけでも、松本隆気分にひたれます。


*白鳳社版の詩集の場合、最初に収められているのが、
「風が・・・」という詩なので、
そこに松本隆のテーマそのものが奏でられています。


絶妙な構成 ★★★★★
夭折の故、立原道造の主要作品は死後出版されました。この詩集では、「優しい歌」を代表とする完成期の作品をまず集め、そこから更に変容して行こうとしていた最晩年の遺作を並べ、最後に20歳頃の習作をもってきています。「エチュード」と題されたそれらを読む時、わずか5年と少しの間に立原道造の詩がこれほどの完成を見せたのかと驚き、なんと生き急いだ詩人だろうという感慨に打たれないではいられません。

最後の解説、一高時代の友人・杉浦明平が愛惜の情をもって50年前の記憶をたどる文章がまた、独立した一編の作品として味読することのできる程重厚なものです。

タイポグラフィを重視したという詩人の言葉に従い、文庫本としては大変贅沢な版組をしてあり、詩の音楽を目で楽しむことができます。岩波出版物の良さが詰まった一冊。
杉浦明平による珠玉の解説 ★★★★★
・内容 立原道造の残した詩の大部分を掲載。詩に関しては満足できるが、残念ながら彼の童話については触れられていない。また詩を作り始める前に傾倒した短歌もない。文庫版にそこまでを望むのは贅沢かもしれないが、それらは彼の重要な側面であり、全集以外にはほとんど出版物がないので非常に惜しい。
・解説 東大時代の同級生、翻訳家(?)の故・杉浦明平による本文に肩を並べるほどの郷愁を誘う解説。遥か昔に別れたきりの友人を、込み上げる感情を抑制しつつ回顧する。道造の溢れるほどの才能と繊細な人柄をエピソードを交えて著した本文は、他に類をみない名随筆となっている。このような二人の才能が出会った偶然に驚かずにはいられず、その偶然と明平の存在に感謝の念すら感じずにいられない渾身の解説である。
ノスタルジィ ★★★★★
立原道造の世界は、今ひとつ深さに欠ける所はあるが、立原独特のノスタルジックな心地よさには、何とも言えない《魅力》を感じてしまう。《ロマン》というか、《メルヘン》というか、そういう感じ。思想的な深さを求める人には、あまりオススメできないかもしれないが、単純に《美しい詩》が読みたいという人にはオススメできる、ある意味、《詩の王道》を行く一冊です。
味わいが深い詩の世界に、いますぐ飛び込みたい衝動に駆られる。 ★★★★★
私が立原道造の詩の世界に、はじめて触れたときに読んだ本である。
個人的には、非常に思いいれの大きい書のひとつであるのだが・・・。

立原道造は大正3年(1914年)に、東京で生まれ、
24歳でこの世を去るまでに、詩をはじめ、
短歌や俳句、パステル画やスケッチ、
そして建築設計図までもを、残している。
この本は、見たとおり、詩集なので、
その中の「詩」について、焦点を当てているのであるが、
読めば読むほどに、さらっとしている一つ一つの単語の中に、
やわらかい陽射しが注ぎ込むような、春っぽさを感じる部分と、
芯の強い、しかし誰へにも優しい感触を示す、
暖かい言葉が並べられている。
私が一番好きなのは「優しき歌 U」の中にある、
「爽やかな五月に」が好きである。
「月の光の中に見える、あふれる涙を頬に見たとき」の、
道造独特の、儚くもろく、しかし捉える心の部分は、
しっかりと伝えることを知っている言葉に、
非常に、自分の持つセンシティブな心の部分に響く何かを感じる。
全体的に、男性が作った詩というよりは、
いくらか、女性詩に近い印象が残る場合もあるかもしれない。
しかし、観点や感性は、絶対に男性の詩である。
ここまで儚く、そして角度を変えると、
道造自身のユーモラスさを感じさせる、素敵な詩集だと思う。