琥珀色の酒に酔いしれ、疲れていたのか解放感で満たされる作品
★★★★★
薄暗がりの中、クリスマス・ソングで飾りたてなければならない殺風景な部屋で
ひっそり聞いている。
「Have Yourself A Merry Little Christmas」
この歌を自分で歌いたいという欲望が頭の中で強烈に動きだした。
思わず口ずさんでしまい、カラオケ・ヴァージョン付いていたらなぁと思う。
歌を歌いたいという衝動に駆られたことは全く無い、それどころか、年3回前後
やむなく付き合いで行くカラオケで歌えるレパートリーも非常に少ないのに、
なぜか、自然にこう歌いたいという歌いまわしまでが感じられる。
この作品は先々月に買ったMAYA+JAZZの延長線上にあるJAZZ作品で、
単なるX'MAS作品という感じはしなかった。「White Christmas」も「LINDA」と歌われると
明るいPOPチューンになる。「Gee Rudolf」は渋く、「I'll Be Seeing You」は切ない。
「Darn That Dream」と「Prelude To A Kiss」からは新鮮な香りが感じられる。
☆☆☆このクリスマス作品は夏にききたい☆☆☆
お一人さまに贈るMAYAのクリスマスアルバム
★★★★★
前作「MAYA+JAZZ」録音のわずか3日後、2008年7月に録音されたMAYA初のクリスマスアルバムは、クリスマスを独りで過ごさなければならない「お一人さま」に贈るアルバム。
昔からあるクリスマスソングは、確かに楽しい曲が多いというイメージですが、ポップスの世界では、Wham!「Last Crhistmas」にしても、山下達郎「クリスマスイブ」にしても、リズムや曲想は暗くなくても歌詞の内容は寂しい大ヒット曲があるので、その発想にそれほど意外性はないように思います。
日本のヒットポップスでも、辛島美登里「サイレントイブ」等はお一人さまの曲、松任谷由実「恋人がサンタクロース」、松田聖子「Pearl White Eve」等は寂しくないから、両方ありというところですね。
本作は、松尾明ds、嶌田憲二b、寺村容子pのシンプルなサウンドをバックにMAYAがじんわりと歌ってくれていて、スタイル的には「MAYA+JAZZ」の延長線上、というか姉妹編という感じではあります。
ただ、そこは「お一人さま」向けとは言ってもクリスマスアルバム、部屋の外の楽しい雰囲気を表現する?サウンドの軽快感や、ヴォーカルのしっとり感が漂い、MAYA+JAZZよりもこちらのほうが気に入る方も多いかもしれません。
1曲目にしてアルバムタイトル曲「Have Yourself A Merry Little Christmas」は映画「若草の頃」主題歌でジュディ・ガーランドが歌った曲ということですが、この素敵なメロディの曲をMAYAは大切に歌っており、トリオの演奏も美しく、皆さんの心をとらえるでしょう。
そして3曲目「I'll Be Seeing You」では中間にMAYAの語りをはさんでキュートな表現が印象的です。
いわゆるクリスマスソングだけではないのですが、いろいろ工夫があり、本当の「お一人さま」はもちろん、カップルや(大人の)家族でも楽しめるMAYAの冬のジャズアルバムとなっています。