ゆでめんからLA録音にいたるまでの、どのアルバムとも異なる不思議な奥行きや艶のある、ギター、ベース、歌、ピアノ、ドラムスのひとつひとつの音。そして、「もうこの4人じゃないと・・・」と語る大滝さんのMC。
「夏なんです」の大滝さんと茂さんのギターの絡み。「空模様の隙間を・・・」の少し前のあたり。
それから、長い、長い、「かくれんぼ」の前奏。アコースティック12弦ギターの音。全体の音の織り成す艶かしさ。
このアルバムの1曲、1曲のアレンジも音の選択も、73年9月の時点で「はっぴいえんど」はさらなる高みに達していた。後にも先にも・・ということなのだ。
願わくば、この日のはっぴいえんどの演奏の全貌の聴ける音源が世に出んことを。
一点、あえて苦言を呈するとすれば・・、オリジナルのLPにおいて、松本隆さんが、はっぴいえんどの経緯を記し、はっぴいえんどを総括する稀代の名文「早すぎた回想録」が、どうも、掲載されていないようなのである。
あの文章も、これまで1000回以上は読んでみて、実に、はっぴいえんどの在り方にじかに触れるに近い感覚をもったものであるので、ぜひ、後世においてはっぴいえんどに初めて触れる人のためにも、掲載しておいていただきたいと思うのである。
これ、勘違いでしたら、ごめんなさい。