もうひとつの「白い巨塔」。手術シーン以外は非現実的。
★★★☆☆
天才外科医にしてアウトサイダー、当麻鉄彦の物語.舞台は1980年代で生体肝移植が日本で開始された頃である.消化器外科医として多くの症例を手がけられた作者による手術シーンは迫力があり、引き込まれる。しかし、それ以外は昭和の日本映画(今の韓流ドラマ)のように陳腐。主人公は一流の国立大(西日本大学=京都大学:作者の母校)出身で、紳士でルックスもよくまじめで、天才的な外科医(国手!?)、それに対して悪役は3流私立大学出で怠け者、セクハラ、手術がへたで人格も悪いとエリート意識と偏見に満ちた設定になっている.天才外科医などいても、いったい何人の患者を治療できるだろう。1人の天才外科医より100人の普通の外科医が必要なのだ。医療現場にスターはいらない。
勧善懲悪はっきりし過ぎ
★★★☆☆
第一巻を読んで、勧善懲悪がはっきりし過ぎなことに辟易したのに、映画を観て感動し、第二巻を読んでまた、いやになりました。手術現場の描写は素晴らしく本当に引き込まれるのに、悪役医師が「べたに」悪役過ぎて却ってリアリティを失っていることにガッカリ。大人の世界では勧善が曖昧なことは誰でも知っているのだけれど、作者は相当な経験をされたのでしょうか・・・。加えて恋愛描写も乗り切れない。文庫で上下2巻位がちょうどいいのかな。
手術の説明なんかが面白い
★★★★☆
人間関係は言っちゃ悪いが稚拙。「え、それで終わり?」
それだけしか書かないなら出すなとまで思うぐらい
でも手術シーンや医療現場の物理的な部分は、とても面白かった
説明はわかりやすいのにくどくなく、素人が納得しやすい
緊迫性。いっそ、人間関係はできるだけ削った方が面白かったんでは
ないのかなと思い、その点で星を減らしました。
医療現場は、風邪で患者になったぐらいしか経験がないのですが
お医者さんや看護師さんは聖職だと割りきれない部分もあるんだろうなぁと
仕事の難儀さを改めて感じました。
理想の医師像と現実とのギャップ
★★★★★
ずいぶん前に買ったのだが、すっかり忘れて本棚の奥の方でひっそりしていたこの本。
最近映画が公開されたことで思い出して、やっと読み始めることができた。
率直に面白かった。
きっと私に読まれる運命だったのだろう。
私にとって理想の医師がいるとすれば、この本の主人公である当麻鉄彦。
彼のような医者であれば、結果の如何を問わず、ほとんどの患者が治療方針、治療内容に満足することが出来る。
逆に言うと、この小説は現代医療の理想と現実のギャップの大きさに気づかせてくれる。
この文庫6冊に及ぶ長編小説のストーリーの幹は、外科医当麻鉄彦の医療と患者に対する真摯な執念だ。
その幹の枝葉として、脳死肝移植、大学病院による傘下病院への影響力の行使が実に効果的に描かれている。
10年以上前のことだが、私の娘がお世話になっていた某大学病院の主治医が、所属する診療科の部長とともに他の病院に移ることになった。
医師にも異動があるという事実を知らなかった私は、率直に主治医に尋ねてみた。
「先生だけ残っていただくことは出来ないのですか」
その優しい主治医はこう回答したことを覚えている。
「サラリーマンの異動の辞令と同じなんですよ。お父さんもサラリーマンだからわかりますよね。」
医者も「上」の顔色を見ながら仕事をしなければならないのだと、この時初めて知った。
この物語では、大学病院による「医師派遣機能」について、非常によく理解できるように書かれている。
研修制度が改悪された昨今では多少事情は異なるのだろうが、大学による病院への影響力の行使についてはこの本が書かれた当時とそれほど違いはないだろう。
技術力、人間性ではなく、派遣元の大学、年次によって左右される肩書き。
病院によく行く機会がある方で、なんとなくしっくりこない病院内での医者同士の人間関係を経験したことがあれば、裏にはこんな事情があったのか、と納得できるはず。
日本には非常に優れた、国民全員加入の健康保険制度がある。
しかしながら、国民全員が同質の医療の恩恵を受けることが出来るわけではない。
残念ながら医師によって治療結果に優劣が出るのであれば、やはり優秀な医師に診てもらいたいと思うのが自然だろう。
いつの日か、当麻鉄彦のような医師ばかりの世の中になっていることを願う。
自分が患者になった時役に立つ、術例解説
★★★★☆
自分が外科的オペを施すような病になった時、
当麻鉄彦のような医師が身近にいたら、どんなに心強いだろう。
数ある医療モノの小説の中で、著者のように
実際に手がけたオペが6000件を超え、
今なお現役でいる医師の小説は、
オペをモニターで見学しているような臨場感とリアル感がある。
オペ中の術例解説と術野の医学専門用語がやや難解だが、
実際に医師たちが使っている言葉を知ることができる。
本書を読むことで、いつか患者側になる私たちに
多少なりとも医療知識を与えてもらえることは嬉しい。
特に、腕の悪い医師が誤診やオペの失敗で患者を死なせても
平然としている様は、多分日本のあちこちの病院で
起こっていることなのだろう‥。
そんな告発もこの小説には含まれている。
米国で最先端の肝移植の実践を積んだ当麻医師が、
なぜ日本の地方病院にUターン就職したのか、
今後が楽しみな第一巻。近日映画化。
木漏れ日の丘
★★★★★
当麻鉄彦は,大学病院を飛び出したアウトサイダーの医師。国内外で腕を磨き一流の外科医となった彼は,琵琶湖のほとりの民間病院で難手術に挑み患者たちの命を救っていく。折しも,大量吐血して瀕死の状態となった「エホバの証人」の少女が担ぎ込まれる。信条により両親は輸血を拒否。一滴の輸血の許されない状況で,はたして手術は成功するのか?
医療用語が多いので,読むのに少し時間はかかるが,それ以上に読みごたえのある作品になっている。主人公の当麻鉄彦は,患者を救いたいという意思がだれよりも強いために,尊敬されながらもどこかひとりだ。そんな主人公はとても魅力的であり,こんな医者がいてくれたら・・・と思う。
My Favarite
★★★★☆
映画やマンガの原作ということですが、小説としても十分に面白いいシリーズです。
一人の天才外科医とその周囲の人物たちとのドラマが丁寧に描かれており、本シリーズ6巻、続編4巻を一気に読みました。
医療小説に興味のある方は、はまるかもしれません。
出窓
★★★★☆
映画にもなったので,読みたかった作品です.
全6巻でしたが,先が気になる展開も多く,10日くらいで読み終わりました.
経営者側の世間体を気にする部分や出世の駆け引きなど,医療とは離れたところで繰り広げられる人間模様はけっこうドロドロしていました.著者が医者だけに,きっと実際に行われているやり取りに違いありません.病院選びは慎重にせねば・・・と真面目に考えてしまいました.
手術場面の描写もリアルでしたが,医者や看護師でないと全くついていけなさそう.わかる人が読めば「おお~!」って感覚なのでしょうね.
あと,この話は必要??ってところがけっこうあり,集中力がちょっと切れました.
でも,当麻先生の魅力は大きく描かれていて良かったと思います.技術も心も持ち合わせている医者はカッコいいですね♪次の作品も読んでみようと思いました.
ぶっくす『とれび』
★★★★★
医療物の中では、結構抵抗無く読めた感じ。[権力争い]みたいなドロドロ感が少なかったからでしょうか・・。
nobunobu shop
★★★★★
もう一つの白い巨頭がここにある。医療界に投石を投げかける内容もストーリー展開もすばらしい。全6巻ですが、続きが気になるので、一気に購入して読みました。
数々の手術を手がけた現役のドクターが実体験をもとに書いているだけあって、全体的にリアリティーと、生々しい医療業界の問題点を浮き彫りにしている。
医療に興味の無い方もはまる事間違いなし。
展開も速く、専門的な内容ながら、分かり易く読みやすい。
テンポ良く、ストレスフリーで読める。手術シーンのリアリティは圧巻。
読めばすぐに作品にはのめり込むだろう。