怖いもの見たさ?
★★★☆☆
石器から、拳銃まで、武器の変遷を、時代、地域、種類によって、豊富な図版とともに紹介した本書、刀、弓、甲冑、銃器といったクラシックな、それこそ美術館や博物館に所蔵されているような、ほとんど手作りによる武器を扱っているのが特徴です。日本の鎧兜一式、日本刀、柄に宝石がはめ込まれた中近東の短剣や、繊細な装飾が刀身や銃座に施されたヨーロッパの剣や銃は、殺傷道具というよりは、洗練された美術工芸品の域に達しているのも多く、棘や鋭い切っ先のついた原始的で無骨なつくりの武器よりも、かえって怖い印象を持ちました。「珍しい手持ち武器」と称された中には、日本の撒きびしに相当する『からすの足』や、ナイフとフォークを組み合わせた拳銃、一見すると、金属製の孫の手のようなインドの戦棍、ヒンドゥー教の僧侶が使用する祭具と兼用した武器などは、別の場所で紹介された清教徒革命期に作られた山高帽の形をした鉄製の兜も含めて、どれも奇抜な発想と形状がユニークでした。また、日本の兜を真上から写したり、模様や刻印の細部まで一目瞭然な写真の撮り方に、工夫がされている点も良かったと思います。