医師も人間
★★★★★
浜辺医師の著書を読むと、この事がよくわかります。 必死の治療で命を取り留めたが、植物人間となってしまった患者さん。その家族には、これから先、かなりの負担がかかります。 そんな時、浜辺医師は、これでよかったのか?と、自問自答するのです。 こういったところに、医師としてより、人間としての感情を見る事が出来る作品です。
考えさせられる
★★★★★
都内の下町にある公共病院救命センターのベテラン医師の視点で描いた救命の現場。
記述されているのは、「一所懸命に救急してもそれが植物人間を生み出してしまうことがある」とか、「一生、体が動かせなくなった人にいつどのように告知するか」とか、「同じ高所からの転落者でも、自殺を図った人と建設現場で事故にあった人が同時に来た場合、どちらを優先するか」などなど、とても重いテーマばかりといっていい。
そのような重いテーマを、深刻ぶるわけでなく、観念的にもならず、臨場感たっぷりに描いている。医師が現場で、そのときどきにどう考えながら行動しているかがわかり、とても興味深い。
本書は「ベテラン医師の視点」で書かれている。
若さいっぱいで「とにかく命を救おう」とがんばっている研修医や、とまどいの多い学生や、素直な疑問を投げてくる看護士などと接しながら、「三途の川を渡った人を引き戻してくる」ことで生じる結果やその重さを感じながら行動しており、それぞれの登場人物との対比も興味深い。
現場の臨場感をしっかり保ちながら、伝えるべき事柄はきちんと整理して提示する、その著者の筆力にも感心する作品です。
お勧めします。
う〜ん
★★★☆☆
医者の書く読み物は幾つか読んできたが、その中ではこの本はイマイチ。
医者や看護婦の本音の部分が分かるといえば分かるが、
読み物としては面白さに欠ける。
医者として医療現場やそこで働く人間を読者に伝えたい熱さは分かるが、
その後に続くだからどうするべきかとか、どうしてほしいのか
という医師の思いがイマイチ見当たらない。
書いた当時はこれはこれでセンセーショナルだったろうが、
こうした医者の書いた本が多く出回る昨今では、
それ程印象には残らない本だった。
ドクターの本音が赤裸々に語られる。命ってなんなんだ?
★★★★☆
救命センターの長としての本音が赤裸々に語られています。読みやすいです。
自殺をしようとした人の命と、不慮の事故で救命センターに運ばれた命
どちらが大切か?どちらを優先的に救うべきなのか?
肉親が突然事故に遭い、救命センターで医療行為を受けたがあえなく
ご臨終。死に目にあえなかった遺族に対して、
高額の請求書をつきつける事に対しての苦痛。
植物状態になってしまった人間を介護するのは、家・土地・それまでの財産を全て
吐き出してしまい、それでも終わりが無いという苦痛。
個人的には、
現在のとにかくまず救う、という行為に対して、疑問が生じてきましたし
安楽死も選択の一つにするべきだとの考えも強くなりました。
いろいろ書きましたが、著者は、難解な医学用語も非常に噛み砕いて
説明しており、分かりやすい。
オススメです。
命を扱っていながら重くない一冊
★★★★☆
本屋で何気なく手にとった一冊の本・・・それがこの本でした。救命センターに勤務する一人の医師が、読者にあてて書く手紙形式になっています。大都会の中で、生と死の狭間で揺れ動く人間の極限の姿を、医師の立場から冷静に且つひょうひょうと訴えかけている・・という感じでサラッと読めます。人間の命の尊さ、はかなさが、そこはかとなく嫌味なく伝わってくる一冊です。