馴染みの薄い古代インドの遺跡・遺物をカラーで楽しめます
★★★★☆
この書は、古代のインド及びその周辺諸国を扱っていますが、その範囲は紀元前6000
年くらいのインダス文明から西暦1000年ころまでと、たいへん長いです。
これは古代インド史に関する文献資料が非常に少ない事により不明点が多く、なかなか
詳細に立ち入れないようです。
ところが遺物に関しては素晴らしいものが多く、それがカラー写真で紹介されています
ので、インド史に沿って遺物を見れるだけでも眼福かもしれません。
また古代インドは、ヒンドゥー教や仏教、ジャイナ教といった、現代にも多大な影響を
与えている宗教を発祥しており、これらが詳しく記述されているうえ、現代との関連性
まで言及しており(写真付き)、大変興味深いです。
政治史はカラー地図を多用して、首都や最大版図が分かりやすく記されていますし、そ
れらの帝国と宗教との関わりにも多く言及されています。
私たちは今、ヨーロッパ発祥の政治体制の中にいますし、また、江戸以前は中国の影響
を受けた社会でしたのでそれらには親近感があるのですが、カースト制の残るインドの
文化は、馴染みの薄い分かなりエキサイティングだと思います。
インド文化圏に興味のある方、また日本にインド文化が与えた影響に興味がある方にお
薦めの一冊です。