この本の良いところは（１）著者の知性と人柄が透けて見える臨床記録（２）平井先生や木部先生の本では十分わからなかったタビストックの訓練プログラムがよくわかる（３）自閉症者へのサポートは行動療法的スキル獲得のみの方法が主流であるが、こころをも扱う方法が、特に重篤な障害を持つ人に対して有効であるとわかる、などがあるが、最終章の Mr. A （＝パトリック・ケースメント）から受けた教育分析についてのエッセーだけでも読む価値がある。彼の最後の弟子だなんて、鵜飼さんって何とラッキーな人だろう。
ともあれ、若い世代のタビストック出身の精神科医や心理臨床家たちが、刺激的な著作や翻訳で新しい流れを作っています。