ハート・デリバリー。1990年のツアーより。
★★★★☆
カタカナ表題は「Heart's Delivery」=ハーツ・デリバリーではなく、「ハート・デリバリー」。オリジナルは1990年06月27日。同名アルバム発表時のツアーよりのコンサート録音映像。曲構成は、大人気だった初期の作品が半分、新しい曲が半分、といった所。
「クセのない真っ直ぐな声で、独特の透明感がある―こういう歌い方があるんだな… と教えられました」とは作曲した来生たかおのコメントだ。40歳を過ぎて尚、可愛らしい声を保ち続ける歌手は多くない。コーラス部出身ならではの、全く無理をしない発声のお陰だろう。
美しい音色を一杯に響かせる、この歌声は、他に似た人が見当たらない。1980年代らしい哀愁を帯びた響きもあり、「今でも好き」という人が結構いる。柔らかな声だが、音もきちんと取れており、良い曲もあり。なかなか堅実な作品だ。
シングルとアルバムとでかなり感じの違う、代表曲「セーラー服と機関銃」は、映画で慣れ親しんだシングルの方のアレンジに、ちゃんとなっている。松任谷由実が別名で手掛けた「Wの悲劇」テーマも美声に合っている。
但し、自分の目当ては、断然、「語りつぐ愛に」(水曜グランドロマン主題歌)だ。都会的で意外にモダンな曲調。その分、今でも古く感じないのが良い。暮れてゆくビル街を見下ろす、どこか寂しいメロディーが、美しい歌声に良く合っている。目一杯歌い上げていたテレビ出演時よりは、抑えめの歌い方になっているが、一番好きな曲が実況で聴けて感動。