鬼背参りは怪談でありながら、強烈なラブストーリーである。
喬太郎さんのリアルな描写で恐怖感もありつつ
その背景にある凄まじいラブストーリーにぐいっと引き込まれます。
万人向けではないかもしれませんが、喬太郎さんのアナザーサイドを知りたい方には
是非おすすめしたい１枚です。

「落語の大学」は思わずにやりとさせられる作り。作者、演者、視聴者の距離感が心地よい。
「鬼背参り」はこれとは逆。夢枕は淡々とした表現の繰り返しによる濃密な空気感を表現するものだと思っていたが、しゃべり言葉にすると歯切れが悪すぎる。くどくどしい言い回しに辟易とするところも。（小説なら体言留めですっきりするところを、演者がきっちりとした言葉に置き換えているのかもしれない。そうしないと話し言葉による落語になりませんからね）とにかく、聴いている人間が置いていかれている気がしました。

ネタバレになるので詳細は書きませんが、ストーリー、語り、いずれも完成度の高い素晴らしい作品だと思います。
たとえて言えば…、そうですねえ、喬太郎さんでいうと、ハワイの雪と夜の慣用句のカップリングにも匹敵する、という感じかな？
喬太郎さんの作品ではない、というだけであって、もちろん落語としても楽しめる作品です。