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ボードレール全詩集〈1〉悪の華、漂着物、新・悪の華 (ちくま文庫)

価格: ¥1,080
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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反逆からの共感 ★★★★★
文書といえば 徳行か罰か勝利か敗北かしか なかった時代は長かったろう
(風刺文学は例外)
バルザックは傲慢も悪徳も詳細に書いたが旧来の模範生視点でしか考えない
これに対しボードレールは欲望に翻弄される人々と自身を同列に置いた
深淵を裁くよりは その終わらない生命力と反響を重視した
オスカー・ワイルドはキリストが すべてを赦したことを非難したが
ボードレールはキリストが盲目的に神を信じ続けたことを非難した
ボードレールは恐ろしい罰や死 非難をいとわぬ悲壮な覚悟を
限界として 生命力の豊かで雑多な方向性を ひたすら書いた
華美や快楽を追求しても行動力と洞察力に裏打ちされていれば
光 権威 教訓 苦労人に恥じない自己実現となるのだ
「レスボス」では罪悪感はつつしみにつながること
サッフォーはウェヌスよりも美しいと歌い上げていたり
女性を聖性や大自然のすがすがしさに なぞらえて
歌っていることが卑猥さから芸術に向かっているのだ
三島由紀夫は女流作家を手厳しく攻撃していたが
枕草子の「春は曙」の段について限られた字数で
春の魅力を凝縮していたことを絶賛していた
清少納言も紫式部も中宮以外の女には不要とされた
漢文を学んだ
男が司る論理と骨格 女がただよわせる美しさと肉づきを
総合できればすぐれた文化となるのだ
 ただボードレールでは悪の解放が漠然としていて
後世になっても愚行にすぎないことも混ざっている
ランボーが超絶技巧を編み出し 非行のなかに
芸術の司令塔をうちたてた
ランボーのイリュミナシオンになると 貧困や嫉妬よりは
驚異的な飛躍 創造の蓋然性を高める美の集合とか
後世の芸術家の魂に適性が向かうべき未知を暗号として啓示したとしか言いようがない
優等生ぶったバルザック 預言者となった家出少年ランボー
ボードレールはその転換点だ
時代の必然の詩 ★★★★★
ボードレールの詩集をやっと読んでみた。それ以前の、詩集とボードレールとは、ある意味で一線を画しているといえる。ゲーテとかバイロンとか、その前の時代まで純粋に詩集と呼ばれているものとは明らかかに違うのだ。この後の、ランボーとかロートレアモンとか、明らかに、ボードレールの延長線上のものを感じるし、それからいうと、19世紀中ごろの世界の変革の中から、生まれるべくして生まれてきた詩人といえる。
そこには、「悪」や「死」という今まで忌避されてきたテーマが扱われていて、しかも「ロマン主義」の終わりといったテーマも出てくる。文明と時代に脅かされていたこの時代に、敏感に、その時代感覚を汲み取り、表現した最初の詩人といえる。
好き嫌いはあるにせよ、時代の必然として生まれてきた彼の詩には、何らかの大きなメッセージを読む者すべての与えざるを得ないと思う。それをどう受け取るかは別として、深く考えさせられる偉大な詩集である、と思う。堀口大學の訳は知らないけれど、これはとても読みやすい訳で最後まで読み通すことが出来た。
酔いたまえ ★★★☆☆
 目お閉じると幸福の岸辺が広がってくる。虚空を流れ、においに導かれ、魂が喜んでいる。
無題 ★★★★☆
音楽的、暗示的、装飾的な描写で想像の世界を描き出したサンボリスト達、その代表はこのボードレールやランボー、マラルメであり、日本においては萩原朔太郎なのであるが、それら象徴派とよばれるものの全てが嫌いだという人もいるかもしれない。それならば頽廃主義、芸術至上主義者ボードレールの詩からではなく、ボードレールその人について述べられた書物から入り、そのあとで「悪の華」等を読むことをおすすめする、その方が詩、そしてボードレールに対する関心の度合が格段に大きくなることは間違いない。

ちなみにベンヤミンはその著作の中で「ボードレールは孤独を愛したが、彼がのぞんだのは群衆の中の孤独だった。」と書き記している。