クワインの入門書としては唯一無比!しかもそれ以上!
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クワインの入門書と呼べるものはこれ以外ありません。他の本は無視していいと思います。
クワインの議論を理解することは、現代英米現代哲学の展開の一典型を理解することにつながります。
従って本書の議論を追っていくことは、ウィトゲンシュタイン以降の現代哲学の一つの流れを追っていくことになります。
その意味では現代哲学の解説書としても面白く読めます。
つまらない解説書を何冊も読むよりも、これ一冊読んだ方がよっぽどましです。
p.s.クワインの「ホーリズム」の主張は、ラッセル、カルナップ流の精緻な議論で、ウィトゲンシュタインの「レーベンスフォルム」と同様の結論に達したということで、哲学の次の地平を開いたとも言えます。
名著『クワイン』が、平凡社ライブラリーから再刊行。最高の入門書です!
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本書の再刊行は、多くの人が喜ぶことであろう。本当に復刊を「待った読者」は多いことと思う。
それほどに、本書は分析哲学の巨匠であるクワインの最高の入門書であり、分析哲学の入門書とも言えるほどに出色の出来なのだ。
本書によって、クワインの辿ってきた人生と、思想の変遷も丁寧に書かれているが、クワインの最も重要な論文を中心に案内しているので、入門者にはこれ以上の著作はないと言っても過言ではなかろう。
クワインの素晴らしいところは、常に「自然さ」を追求していったところであろう。要するに突飛な思考をするのではなく、一つの問題に直面したら、それをどう考えたら最終的に「自然な主張」と思えるような説得力を持ち得るかを考え、込み入った展開になっても必ず「中庸」を心得ていた点が、やはり群を抜いていた哲学者であったと思う。
「翻訳の不可能性の問題」にしても、その論理展開の核には、そういう「中庸」の姿勢が貫かれていることが、本書を読んでもよく解る。
そして、やがては「ホーリズム」という概念を語り始めるようになるのだが、こういう大局的な理論は、後に分析哲学の最新進化形である「心の哲学」へと至る道を築くことにもなる。
非常に幅が広く、本質的な問題に切り込んでいく学者なので、それは本書を読んでも知的興奮を味わうことが出来るはずだ。
哲学に興味があるならば、迷わず買っても決して損はしない本と言えよう。