玉木節
★★★★★
いや〜、やっと出ましたね!と言うのは、玉木氏の「スポーツ批評」が大好きなのだが、最近はクラッシック音楽の方に浮気?されていた様だったのだが、ようやく出ました「玉木節」炸裂です。タイムリー?に相撲の話題から始まってお馴染みプロ野球、高校野球、サッカー、ゴルフ、etc...そのスポーツの始まりから歴史の変遷、現在の問題点など、これからもっと発展させる為の「このままでいいのか?」が「これでもか」と提言されていて、各スポーツに対する「何故?」や「そうだったんだ!」が溢れている一冊です。思えば文庫本の「プロ野球大事典」を何度も読み返して以来、氏のスポーツの知識、洞察力、時にユーモラスな言い回しの大ファンになり、ただ見るだけでなく、より深くスポーツを楽しめるようになったのは玉木氏のお陰であると思っている。スポーツファン必読の作品。玉木さん、「プロ野球大事典」の続編か改訂版が出ることを心待ちにしています。よろしく?お願いします。
スポーツについて私たちはいかに無知か
★★★★☆
大相撲には元来「八百長」など存在しない。あるのは「阿吽の呼吸」という美しい伝統だけである−−。という、かなり刺激的な主張から始まります。大相撲の歴史と伝統を踏まえ、「相撲=スポーツ」という前提に疑問を投げかけます。前提自体を見直すことで、問題の解決法、解釈に新しい視点をもたらします。
プロ野球、五輪招致問題などについても、政治や歴史を解説しながら、現在の問題を捉えているので、非常に説得力があります。表面の事象だけを追いかけていては、ワイドショーのネタにはなっても、現実は何も変わりません。
とりわけ興味深かったのは「オフサイドはなぜ反則なのか」という問題提起。この謎を意識化したときが、スポーツライターとしての玉木さんの分岐点になったようです。ワールドカップで盛り上がった皆さんが、こうした問題を真面目に考えるようになれば、日本のスポーツ事情は大きく変わっていくかもしれません。もちろん良い方向に。