青年期の境界例について
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ボーダーの治療例が具体的に書かれていて、とてもわかりやすかったです。また、成田先生のお人柄がにじみでている名著だと思いました。
わたしは心理系の院生ですが、院生におすすめの一冊です。境界例の患者について理解を深めることができると思います。
関わる人には必携の本です
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数年前,境界例の概念ってよくわからなくてスーパーバイザーに本読んで理解しなさいと言われ,著者のこの本を買った.著者の本ってすごく頭に入ってくる.なんというか自分の体験に正直なのか,自分という人間を惜しげもなく披露してくれているような文章の書き方が好きなのかもしれない.臨床心理士の試験勉強していてもよくわからなかった投映同一視とかもわかりやすく書いてあるし,境界例―境界性人格障害といった方がいいかな―の特徴や対応の仕方まで書いてある臨床で彼らと出会う人には必携の本だと思う.
青年期臨床に関心のある人の必読書
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全体としてわかりやすい記述であり、しかも著者自身の視点からまとめられています。改訂版になってから最新の考え方についてのレビューも加えられ、さらに充実しました。境界例の患者さんの特徴を理解するために有効なだけでなく、面接を行う上でのガイドラインがよく分かります。マスターソンにスーパーバイスしてもらったという症例の紹介は、面接過程をくわしく検討していくと議論の種になるテーマがちりばめられています。第5章:精神療法覚え書きも出色です。ここは境界例だけでなく、思春期・青年期のすべての患者さんに適用できる精神療法の原則や知恵が記述されています。明日から面接ですぐに役立つと言っても過言ではないと思います。思春期・青年期の患者さんと面接することのある臨床家にぜひ勧めたい本です。
慈愛に満ちた贈り物
★★★★☆
成田善弘氏は青年期境界例に対して慈愛に満ちたまなざしを与える。
昨今、厄介な「症状」に対して様々な対処が提唱されているが、
方法論は研ぎ澄まされるほどに本質から遠ざかっているようだ。
そして事態はますます錯綜していくのである。
そんな時こそ、この本を手にとってみるべき絶好の機会であろう。
氏は、彼らの厄介な症状を受容し、咀嚼して、
ついには無効化してしまうかのような迫力をもっている。
それは氏が人間の成長可能性を否定しないからに他ならない。
そんな氏だからこそ対話精神療法にこだわり続けることができるのだ。
いかに私達が新しい手法に飛びつき、悲観論に陥りながら、
ヒステリー的なまなざしを彼らに与えていたことに思い当たるだろう。
ともすれば、氏の慈愛に満ちた贈り物の宛名は私達なのかもしれない。