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場の論理とマネジメント

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東洋経済新報社
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理論が理解しにくい ★★☆☆☆
場という言葉は日本語として、たいへん伝わりやすい言葉だと思う。はしがきに書かれているアメリカ型の経営をアメリカンフットボールのゲームマネジメントに例え、日本型の経営をラグビーに例え分かり易い内容と思って読み始めた。が、なんと読みにくい内容で頭に入ってこない。自分の集中力が欠如しているのか、頭が悪くなったのかと思って、頁の進まないことがいやになる程時間がかかってしまった。著者が紹介しているとおり、「場のマネジメント」「場のダイナミズムと企業」という2冊を丁寧に説明を付け加えたとあるように、やたらくどく文章が書かれている事と、使われている言葉が理解しにくく、文字を追っても何のことかわからない状態だった。
90年以降バブル崩壊後の日本において、米国の繁栄はうらやましい限りで、いろいろなことが米国流、米国流がグローバルスタンダードとして日本になだれ込んできた。人事制度においても、日本の人口構造の歪みである団塊世代が40歳を過ぎていよいよ管理職になり、企業の平均賃金が上昇し、不景気に突入した日本の企業の人件費を押し上げ、経営に危機をもたらす恐れから、年俸制、成果主義といったものが導入されていった。米国流の個人主義的な、できるものには多額の報酬、チームでなく個人の成果を評価する体質に企業は変化していった。そんな中で、日本の企業の良さが失われ、個人主義が台頭し、自分さえよければ、優秀な一部の社員とその他大勢という組織が増殖していった。その成果主義の導入失敗も各所で出てきた。このような状況は、アメリカンフットボールのクオーターバックというリーダーに使える、その他選手たちという感じで、一人のホワイトカラーとその他ブルーカラーという姿にぴったりあてはまる。その他ブルーカラーは頭は使わず、自分の限られた責任を言われたとおりにまっとうすることを期待されてしまったといえる。現場からの改善活動のようなものには成果を期待せず、優秀な一部の人間が仕組みを作ってそれを黙々と機械のように進めていく社会になってきてしまった。
ところが、サブプライムローンを発端にする金融危機は、一部の優秀といわれる人が金融工学を駆使して作り上げた仮想の世界であり、それが見事に崩れ落ちたものである。私の仕事柄、銀行の方からのデリバティブ商品の売り込みに遭遇することが多々あるが、説明する銀行員も仕組みがどうなっているのかわからないで売り込んでいる人ばかりいる。表面のお金の動きとメリット・デメリットだけで、本質が見えないものを数億円で販売する姿勢も、米国スタンダードに振り回された結果のようにも思える。
今回この本を読んで、場をつくった後のマネジメントが書かれていたが、マネジメントを使うことを知らなかったし、その機能さえも知らなかった。
感覚的には場をつくることの価値は認識していたが、その場が本当の意味で成果を上げる手段を知らなかったために、十分な成果を上げることができなかった。
私は個人的な趣味で、サッカーをよく観戦に行くが、選手間の連携は日々の練習の結果が試合で発揮されている。練習試合などでは観客も少なく選手同士の声が届いて、コミュニケーションがとられているが、リーグ戦ともなればサポーターの熱い声援が選手同士の声など消し去ってしまい、コミュニケーションをとる手段は身振り手振りだけとなる。しかし、選手はチーム全体が一つの体のように神経が行き届き、お互いにフォローし合う動きをして、試合を運んでいく。当然、連携が上手くいったときには得点という結果が生まれチームは勝利を得ることができる。
当社も、サッカーチームのような連携ができるよう、場を作り、場のマネジメントを実施していきたい。
関係性に注目してみると ★★☆☆☆
情報の受け手である個々の従業員でもなく、情報の独占者であるマネージャーでもなく、その間にある「場」に注目して、情報を共有し還流させる方法を考えている。個々の要素ではなく、要素間の関係に注目して論考を進める手法は、大体において、還元主義的手法が行き詰まったときに流行するのだろうが、本書もその流れに位置づけことができるのだろう。いまひとつ切れがないが、発想の転換のヒントになる。
「日本的経営」の普遍化への挑戦 ★★★★★
 「組織は戦略に従う」(チャンドラー)というのは経営学の基本的な命題の一つであるが、本書は、この言葉に象徴される「ヒエラルキー・パラダイム」に挑戦し、これを乗り越える日本発のパラダイムの発信を目指している。
 著者の伊丹氏はその経営学者としての経歴の出発点において「人本主義経営」という概念を提示したことで知られるが、「人こそ資本」という日本的経営の本質についての考察を発展させ、成功する経営の根幹に、人がヨコに連携し、情報をやり取りする中で新たな方向性を創り出して行く「創発」の作用があることを主張し、本書においていわばその集大成を試みたものと言える。
 「場」という考え方は「組織(特にピラミッド型組織)」の対極にある考え方であり、そのようなものに経営の本質を見ようとすることは、「経営者」或いは「マネジャー」の役割を放棄するものではないかという指摘が容易に予期されるが、著者は、「場」の設定、運営とそこから出される結論に対する承認における「経営者、マネジャー」の重要な役割を本書において繰り返し、また、具体的に提示する。
 本書において示される「場」のイメージはまことに魅力的な概念であるが、問題は、現実に存在する企業において、そこでの「場」が有効適切なものになっているのかどうかを、どのようにして知ることができるのか、という点であろう。
 恐らく著者の意図としては、客観的な計測が可能な概念として「場」を定義するのではなく、「経営者、マネジャー」が自らと自らの組織を省察する際の、概念上の道具として「場」の概念を提示したのであり、そのようなものとしてこの概念を使って貰いたいというものであろう。
これまで表現されなかった経営の勘所を見事に表現 ★★★★☆
「場」(ば)って何でしょう?

「場違い」「場作り」「場慣れ」「場を読め」。日常生活の中で、「場」という言葉を使っていますが、さて「場」自体を説明しようとするとなかなかうまく表現できません。

一方、経営、組織運営も人が絡むだけに、「こうすればこうなる」というように予測可能な単純なものではありません。「経営はアートである」といわれる所以です。

この経営に「場」という概念を持ち込むことによって、著者は今まで言葉で表現できなかった経営の勘所を物の見事にわかりやすく説明することに成功しています。

本書は「場」、そしてそのマネジメントについて、順序立てて説明していて、とても読みやすい内容・構成です。また、場のマネジメントが持つ弊害にも触れられており、バランスが取れています。経営者、管理職はもちろん、現場社員が読んでも多くのヒントが得られる本です。

ただ、取り上げられている事例が少し昔のものが多いのが残念です。大部屋制度、フェイスツーフェイスの重要性への強調が目立ちます。急速に普及するコンピュータ、ネットワーク環境が「場」に大きな影響を与えていることは間違いなく、それに対する言及や新しい企業での研究成果が欲しかったところです。

本書を数多くの人が読まれ、それを実際の組織運営で実践、検証することが強く望まれるところです。それによって初めて「場のマネジメント」に魂が吹き込まれ、日本から世界に発信することができるでしょう。